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筑後信用金庫——久留米の城下町で、100年を超えたちくしんは何に貸すか

預貸率62.6%、預金1,683億円、自己資本比率16.36%、不良債権比率3.54%。福岡県久留米市に本店を置く筑後信用金庫。筑後平野の中核都市・久留米に根ざし、創立100年を超えたちくしんが、何に貸すのか。同じ福岡の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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福岡県の久留米市に本店を置く筑後信用金庫は、預金1,683億円を持つ信用金庫だ。店舗13。「ちくしん」の呼び名で知られ、久留米市を中心に筑後平野一帯に店舗を構える。福岡市の都市型商圏でも、北九州の工業地帯でもない、筑後平野の中核都市・久留米に根ざしてきた信金だ。

本拠の久留米市は、福岡県南部・筑後平野の中心都市だ。久留米絣(がすり)やゴム産業(ブリヂストン発祥の地)、医療・大学を擁する、福岡市に次ぐ県南の拠点都市である。筑後川が育てた肥沃な平野には農業が広がり、城下町以来の商業の蓄積もある。筑後信用金庫は、福岡市型の商業集積よりも筑後平野の生活圏と地場産業への密着度が高く、農業・食品・地域商業を含む幅広い地元経済に近い——こうした筑後平野・久留米に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率62.6%という、信金として高めの水準と、自己資本比率16.36%という厚い資本の組み合わせだ。よく貸しながら、資本も厚い。不良債権比率は3.54%。なぜ、筑後平野の信金は、こうした数字になるのか。同じ福岡県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。筑後信用金庫の預金は1,683億円、貸出金は1,053億円。預貸率は62.6%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は16.36%、不良債権比率は3.54%。店舗数は13。

同じ福岡県の信金と比べてみる。福岡市を地盤とする福岡信用金庫(預貸率68.6%・自己資本9.36%)、北九州の福岡ひびき信用金庫(預貸率52.5%・自己資本10.7%)と並べると、筑後信用金庫の預貸率62.6%は中ほどにある。ただ、自己資本比率16.36%は、この三者のなかで際立って厚い。よく貸す福岡信用金庫より高く、規模で勝る福岡ひびき信用金庫よりも厚い。地元の中小事業者に貸しながら、厚い資本で備えている姿が読み取れる。不良債権比率3.54%は、筑後平野の地場産業とともに歩んできたことを映していると読める。

福岡県の信用金庫(令和7年3月末)
 筑後信用金庫福岡信用金庫福岡ひびき信用金庫
本店久留米市福岡市北九州市
預貸率62.6%68.6%52.5%
自己資本比率16.36%9.36%10.7%
不良債権比率3.54%2.28%2.66%

いずれも福岡県の信金。筑後は預貸率では中ほどだが、自己資本比率では三者のなかで際立って厚い。

久留米庶民金庫から——筑後信用金庫の歩み

筑後信用金庫は、1924年(大正13年)11月21日に、産業組合法による「有限責任信用組合久留米庶民金庫」として設立された。1943年(昭和18年)に市街地信用組合法に基づき久留米信用組合に改組し、1951年(昭和26年)、信用金庫法に基づいて久留米信用金庫となった。1974年(昭和49年)8月、八女信用金庫と合併し、「筑後信用金庫」となっている。2002年(平成14年)には両筑信用組合からの事業譲受も行った。2024年(令和6年)11月21日、創立100周年を迎えた。地域から頼られ愛される地域金融機関を目指すことを掲げている。

筑後平野・久留米という土地は、信用金庫にとって厚みのある地盤だ。城下町以来の商業、久留米絣やゴムなどの地場産業、筑後川流域の農業——多様な地元経済が積み重なっている。福岡市の都市型商圏とは性格が異なり、生活圏と地場産業に密着したのが、筑後信用金庫の立ち位置だ。預貸率62.6%という信金として高めの水準は、地元の中小事業者の資金需要によく応えてきたことの表れだと読める。一方で、自己資本比率16.36%という厚い資本は、よく貸しつつ、慎重に備えを積んできたことの表れだと読める。100年を超えて地域とともに歩んできた信金の、堅実な姿がうかがえる。

62.6%を、筑後平野から読む

筑後信用金庫の預貸率62.6%という信金として高めの水準は、筑後平野の中核都市・久留米で、地元の中小事業者の資金需要に応え続けてきたことの表れだと読める。久留米絣やゴム、農業・食品・地域商業といった多様な地場産業に、貸出は向かってきた。

そのうえで、自己資本比率16.36%という厚い資本が共存していることが、この信金の性格を物語る。よく貸す信金は資本が薄くなりがちだが、筑後信用金庫はよく貸しながら厚い資本を保っている。100年を超えて地域とともに歩むなかで、貸すことと備えることを両立させてきた——その姿勢が、62.6%と16.36%という二つの数字に表れていると読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

福岡の経済とともに

筑後信用金庫の数字は、筑後平野・久留米という土地と、100年を超えて歩んできた信金の歴史の、両方を映している。地元の中小事業者によく貸し、同時に厚い資本を保ちながら、筑後平野の経済を支えてきた。城下町以来の商業と地場産業の蓄積が、62.6%という預貸率と16.36%という自己資本比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。筑後信用金庫を見れば、筑後平野の経済と、そこで地域に貸す信金の姿が浮かぶ。福岡県の他の金融機関は、福岡市の福岡信用金庫、北九州の福岡ひびき信用金庫、筑豊の飯塚信用金庫、九州最大の地銀福岡銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。福岡県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福岡県の地域金融機関のページへ。

筑後信用金庫と融資のはなし

筑後信用金庫は、筑後平野に深く根ざした信用金庫です。地元の中小事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。信用金庫では4〜5割台にとどまることも多いなか、6割超の水準は、地元の中小事業者への貸出に積極的なことをうかがわせる。自己資本比率とあわせて見ることで、その信金の姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。福岡信用金庫・福岡ひびき信用金庫の数値も同出典。
沿革(1924年11月21日に産業組合法による「有限責任信用組合久留米庶民金庫」として設立されたこと、1943年に久留米信用組合に改組、1951年に信用金庫法に基づき久留米信用金庫となったこと、1974年8月に八女信用金庫と合併し筑後信用金庫となったこと、2002年に両筑信用組合から事業譲受したこと、2024年11月21日に創立100周年を迎えたこと、「ちくしん」と呼ばれること)=筑後信用金庫および各種公開情報にもとづく。
久留米・筑後の地理・産業(久留米市、筑後平野、筑後川、久留米絣、ゴム産業、福岡県南部の拠点都市、農業・食品・地域商業)に関する記述=各種公開情報。

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