福岡信用金庫——金融激戦地・天神で、福岡しんきんは何に貸すか
預貸率68.6%、預金1,342億円、自己資本比率9.36%、不良債権比率2.28%。福岡県福岡市中央区天神に本店を置く福岡信用金庫。九州の中枢都市・福岡の金融激戦地で、創立100年を超えた信金が、何に貸すのか。同じ福岡の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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福岡県の福岡市に本店を置く福岡信用金庫は、預金1,342億円を持つ信用金庫だ。店舗15。「福岡しんきん」の呼び名で知られ、その本店は九州一の繁華街・天神に立つ。福岡市を中心に店舗を構え、店舗の多くが福岡市内にある、県都の市街地に根ざした信金だ。
本拠の福岡市は、人口160万を超える九州の中枢管理都市だ。天神・博多を中心に、九州じゅうの企業の支店や商業が集まり、メガバンクから地銀、第二地銀、信金、信組までがしのぎを削る全国有数の金融激戦地でもある。九州最大の地銀・福岡銀行の本拠であり、西日本シティ銀行も本店を構える。そのなかで、福岡信用金庫は、大企業ではなく、天神・博多の商業と、福岡市の中小事業者に貸してきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、預貸率68.6%という、信金として高い水準だ。預金1,342億円に対し、貸出金は920億円。預金の7割近くを貸出に回している。なぜ、金融激戦地の信金が、これほど貸せるのか。同じ福岡県の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。福岡信用金庫の預金は1,342億円、貸出金は920億円。預貸率は68.6%で、預金の7割近くを貸出に回している。自己資本比率は9.36%、不良債権比率は2.28%。店舗数は15。
同じ福岡県の信金と比べてみる。北九州を地盤とする福岡ひびき信用金庫(預貸率52.5%・自己資本10.7%)、筑豊の飯塚信用金庫(預貸率58.7%・自己資本17.72%)と並べると、福岡信用金庫の預貸率68.6%は際立って高い。預金規模では福岡ひびき信用金庫(7,995億円)に遠く及ばないが、預金の7割近くを貸出に回す積極性は、この三者のなかで最も強い。金融激戦地のただなかで、これだけ貸せるのは、天神・博多の旺盛な資金需要に応えてきたことの表れだと読める。一方で自己資本比率9.36%は、飯塚(17.72%)や福岡ひびき(10.7%)より薄め。よく貸す分、資本は相対的に薄いという、積極的な信金の典型的な数字だ。不良債権比率2.28%は低く、激戦地で堅実に貸してきたことを映していると読める。
| 福岡信用金庫 | 福岡ひびき信用金庫 | 飯塚信用金庫 | |
|---|---|---|---|
| 本店 | 福岡市 | 北九州市 | 飯塚市 |
| 預貸率 | 68.6% | 52.5% | 58.7% |
| 自己資本比率 | 9.36% | 10.7% | 17.72% |
| 不良債権比率 | 2.28% | 2.66% | 3.48% |
いずれも福岡県の信金。福岡しんきんは規模では小さめだが、預貸率は三者のなかで際立って高い。
福岡市信用組合から——福岡信用金庫の歩み
福岡信用金庫は、1925年(大正14年)1月22日に「有限責任福岡市信用組合」として設立された。同年9月、福岡市役所内に事務所を開設して創業している。県都・福岡市の庶民と中小の商工業者のための金融機関として生まれた。第二次大戦末期の福岡大空襲では本店が全焼し、渡辺通5丁目で営業を再開した苦難の歴史も持つ。1951年(昭和26年)、信用金庫法の公布・施行にともない福岡市信用組合から福岡市信用金庫へ名称を変更し、のちに福博信用金庫と合併して現在の福岡信用金庫となった。本店は天神に置かれ、イメージキャラクターに「それいけ!アンパンマン」を採用していることでも知られる。2025年(令和7年)には創立100周年を迎えた。
金融激戦地・福岡市という土地は、信用金庫にとって厳しくも商機に富んだ地盤だ。メガバンクや地銀が大企業融資を担うなか、信金が向き合うのは天神・博多の商業者や、市内の中小事業者だ。人と企業が集まる県都だからこそ、中小の資金需要も旺盛——その需要に応えてきたことが、預貸率68.6%という高い水準に表れていると読める。福岡大空襲で本店を失いながら復興し、100年を地域とともに歩んできた信金が、いまも天神に本店を構え、市街地の商いに貸し続けている。自己資本比率9.36%という相対的な薄さは、よく貸す積極姿勢の裏返しであり、不良債権比率2.28%の低さは、激戦地で堅実に貸してきたことを映していると読める。
68.6%を、天神から読む
福岡信用金庫の預貸率68.6%という信金として高い水準は、九州の中枢都市・福岡の金融激戦地で、天神・博多の商業と市内の中小事業者の旺盛な資金需要に応えてきたことの表れだと読める。メガバンクも地銀もひしめく土地で、信金として貸せる相手によく貸してきた。
そのうえで、自己資本比率9.36%という相対的な薄さと、不良債権比率2.28%という低さが、この信金の性格を物語る。よく貸す積極姿勢を保ちながら、焦げ付きは低く抑える——その両立が、68.6%という高い預貸率と、2.28%という低い不良債権比率に表れていると読める。県都の旺盛な資金需要を背景に、信金として貸せる相手に深く貸す。それが、この信金の生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
福岡の経済とともに
福岡信用金庫の数字は、九州の中枢都市・福岡という金融激戦地と、その天神で100年を歩んできた信金の歴史の、両方を映している。大企業ではなく、天神・博多の商業と市内の中小によく貸しながら、県都の経済を支えてきた。人と企業が集まる土地の旺盛な資金需要が、68.6%という高い預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。福岡信用金庫を見れば、九州の中枢都市・福岡の経済と、そこで地域に貸す信金の姿が浮かぶ。福岡県の他の金融機関は、北九州の福岡ひびき信用金庫、筑豊の飯塚信用金庫、久留米の筑後信用金庫、九州最大の地銀福岡銀行、預金をほぼ貸し切る西日本シティ銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。福岡県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福岡県の地域金融機関のページへ。
福岡信用金庫は、九州の中枢都市・福岡の天神に根ざした信用金庫です。地元の中小事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。福岡ひびき信用金庫・飯塚信用金庫の数値も同出典。
沿革(1925年1月22日に「有限責任福岡市信用組合」として設立、同年9月に福岡市役所内に事務所を開設して創業したこと、福岡大空襲で本店が全焼し渡辺通5丁目で営業を再開したこと、1951年に信用金庫法の施行にともない福岡市信用金庫へ名称変更したこと、福博信用金庫と合併したこと、本店が天神にあること、イメージキャラクターに「それいけ!アンパンマン」を採用していること、2025年に創立100周年を迎えたこと、通称「福岡しんきん」)=福岡信用金庫および各種公開情報にもとづく。
福岡市の地理・経済(福岡市、天神、博多、九州の中枢管理都市、金融激戦地、九州最大の地銀の本拠であること)に関する記述=各種公開情報。
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