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福岡県信用組合——県域の信組は、なぜ預金の8割を貸すのか

預貸率79.8%、預金3,403億円、自己資本比率8.87%、不良債権比率7.43%。福岡市に本店を置く福岡県信用組合。福岡県を広く地盤とする信組が、なぜ預金の8割を貸し、何を抱えるのか。同じ福岡の地域金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 福岡県

福岡県の福岡市に本店を置く福岡県信用組合は、預金3,403億円を持つ信用組合だ。店舗39。福岡市を中心に、福岡県の各地を広く地盤としている。その名のとおり、福岡県を県域とする信用組合だ。

本拠の福岡市は、九州最大の都市であり、九州の経済・商業・行政の中心だ。商業・サービス業が集積し、スタートアップの集まる都市としても知られる。一方、福岡県は広く、北九州の工業地帯、筑豊のかつての炭鉱地帯、筑後の農業地帯と、多様な地域を抱える。福岡県信用組合は、こうした福岡県を広く県域とする信用組合として、各地の中小・零細事業者を支えてきた。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率79.8%という高さと、不良債権比率7.43%という高めの数字だ。預金の8割を貸出に回す一方、焦げ付きは高い。なぜ、県域の信組は、こうした数字になるのか。同じ福岡の地域金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。福岡県信用組合の預金は3,403億円、貸出金は2,717億円。預貸率は79.8%で、預金の8割を貸出に回している。自己資本比率は8.87%、不良債権比率は7.43%。店舗数は39、中小企業等への貸出残高は2,695億円。

同じ福岡県で、北九州市を地盤とする福岡ひびき信用金庫(預貸率52.5%・不良債権比率2.66%)と比べると、福岡県信用組合のほうが、預貸率も焦げ付きもずっと高い。福岡県信用組合の預貸率79.8%は福岡ひびき信用金庫(52.5%)を大きく上回り、預金の8割を貸出に回している。不良債権比率も福岡県信用組合(7.43%)が福岡ひびき信用金庫(2.66%)を大きく上回る。福岡県信用組合は、組合員という限られた範囲に、預金の8割という高い比率で深く貸し、そのぶん地域の事業者の浮き沈みを大きく引き受けていると読める。

福岡県の地域金融機関(令和7年3月末)
 福岡県信用組合福岡ひびき信用金庫
本店福岡市北九州市
預金3,403億円7,995億円
預貸率79.8%52.5%
自己資本比率8.87%10.7%
不良債権比率7.43%2.66%

福岡県を県域とする信組と、北九州の信金。福岡県信用組合は預貸率も焦げ付きも高い。組合員に深く貸し、地域の浮き沈みを引き受ける信組の姿が数字に表れている。

福岡県とともに——福岡県信用組合の歩み

福岡県信用組合は、福岡県の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。福岡市の商店、北九州の工業に関わる事業者、筑豊・筑後の地場産業や農家、そして住民——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。福岡県信用組合は、県内の複数の信用組合の合併を経て、福岡県を広く県域とする信用組合へと成長してきた。

福岡県という土地は、信用組合にとって、組合員の資金需要のある地盤だ。九州最大の都市・福岡市の商業、北九州の工業、筑豊・筑後の地場産業と、多様な業種が広がる。組合員という限られた範囲に密着し、深く貸す——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率79.8%という高さを支えている。信用組合は、信用金庫よりもさらに地域や組合員に密着し、銀行が手の届きにくい小規模な事業者に貸す。福岡県信用組合は、その役割を担い、預金の8割を貸出に回している。一方、地域の中小・零細事業者は景気や産業構造の変化を受けやすく、不良債権比率7.43%という高めの数字に、その浮き沈みが映っていると読める。

79.8%を、福岡県から読む

福岡県信用組合の預貸率79.8%という高さは、福岡県を県域とする信組が、組合員の資金需要に深く応えていることの表れだと読める。九州最大の都市・福岡市から北九州、筑豊、筑後まで、多様な地域の中小・零細事業者に密着して貸す。組合員という限られた範囲に、預金の8割という高い比率で貸すのは、信用組合が地域に深く根ざしていることの裏返しだ。

不良債権比率7.43%という高めの数字は、よく貸すなかで、地域の事業者の浮き沈みを大きく引き受けてきたことを映す。自己資本比率8.87%は、信用組合の国内基準4%は上回るが、際立って厚いわけではなく、よく貸すぶん資本の厚みは控えめだ。福岡県を県域に、組合員に深く貸し、地域の浮き沈みを引き受ける——それが、福岡県信用組合の数字に表れた生き方だと読める。地域に深く根ざす信用組合の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

福岡の経済とともに

福岡県信用組合の数字は、福岡県という広い県域と、そこで組合員に深く貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の8割を地元の組合員に貸し、福岡市の商業、北九州の工業、筑豊・筑後の地場産業を支えてきた。よく貸すぶん焦げ付きは高めだが、地域に深く根ざして歩んできた。多様な地域を抱える福岡県の経済が、79.8%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。福岡県信用組合を見れば、福岡県の経済と、そこで組合員に深く貸す信組の姿が浮かぶ。福岡県の他の金融機関は、北九州の福岡ひびき信用金庫、遠賀の遠賀信用金庫、県トップの地銀福岡銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。福岡県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福岡県の地域金融機関のページへ。

不良債権比率とは 不良債権比率とは、貸出金などの債権のうち、返済が滞るなどして回収に懸念のある債権の占める割合。比率が高いほど、焦げ付きのリスクを抱えていることを示す。ただし、比率の高さは必ずしも貸し方の甘さを意味しない。組合員という限られた範囲に密着して深く貸す信用組合は、地域の中小・零細事業者の浮き沈みを引き受けるぶん、焦げ付きを一定程度抱えやすい。自己資本比率とあわせて見ることで、その焦げ付きを吸収できる備えがあるかが見えてくる。 → あわせて「預貸率の読み方」もどうぞ

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。福岡ひびき信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(福岡市に本店を置き、福岡県を広く県域とする信用組合であること、県内の複数の信用組合の合併を経て県域の信用組合になったこと、福岡市が九州最大の都市で経済・商業・行政の中心でありスタートアップの集まる都市としても知られること、福岡県が北九州の工業地帯・筑豊のかつての炭鉱地帯・筑後の農業地帯と多様な地域を抱えること)に関する記述=福岡県信用組合および各種公開情報にもとづく。
福岡の地理・経済(福岡市、九州、北九州、筑豊、筑後、工業、炭鉱、農業)に関する記述=各種公開情報。

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