二本松信用金庫——菊人形と霞ヶ城の城下町で、まつしんは何に貸すか
預貸率46.2%、預金1,408億円、自己資本比率14.19%、不良債権比率5.62%。福島県二本松市に本店を置く二本松信用金庫。菊人形と霞ヶ城の城下町に根ざす「まつしん」が、何に貸すのか。同じ福島の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
福島県の二本松市に本店を置く二本松信用金庫は、預金1,408億円を持つ信用金庫だ。店舗7。地元で「まつしん」と呼ばれ、二本松市・本宮市・大玉村を主な地盤とする。菊人形と霞ヶ城の城下町に根ざす信金だ。
本拠の二本松市は、福島県の中通り北部、安達太良山のふもとに位置する。丹羽氏十万石の城下町として栄え、その居城・二本松城は「霞ヶ城(かすみがじょう)」とも呼ばれる。秋に城跡で開かれる二本松の菊人形は東北有数の規模で知られ、提灯祭りや、近くの岳温泉とともに観光のまちでもある。高村光太郎の『智恵子抄』に「ほんとの空」とうたわれた、智恵子の故郷でもある。安達太良の伏流水が育む酒どころでもあり、農業と地場の中小商工業が地域経済を支える。二本松信用金庫は、こうした菊と城の中通り北部に根ざし、地域の中小事業者と住民に貸してきた。
この信金の数字を見ると、預貸率46.2%という、信用金庫として中位の水準が目を引く。預金の半分弱を貸出に回している。一方で自己資本比率は14.19%と厚い。城下町の小さな信金は、何に貸しているのか。同じ福島の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。二本松信用金庫の預金は1,408億円、貸出金は650億円。預貸率は46.2%で、預金の半分弱を貸出に回している。自己資本比率は14.19%、不良債権比率は5.62%。店舗数は7。
同じ福島県の信金と比べてみる。県都・福島を地盤とする福島信用金庫(預貸率42.9%・預金4,495億円)、会津の会津信用金庫(預貸率48.3%・自己資本比率20.62%)、須賀川の須賀川信用金庫(預貸率46.1%)と並べると、二本松信用金庫の預貸率46.2%は、福島の信金のなかでは中位だ。県都の福島信金(42.9%)よりやや高く、須賀川信金(46.1%)とほぼ並ぶ。預金規模1,408億円は小さめだが、自己資本比率14.19%は信用金庫として十分に厚い。城下町・二本松を中心とする中通り北部の中小の資金需要に、堅実に応えてきた姿がうかがえる。不良債権比率5.62%はやや高めで、地域の事業の浮き沈みを引き受けてきたことをうかがわせる。
| 二本松信用金庫 | 福島信用金庫 | 会津信用金庫 | 須賀川信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 二本松市 | 福島市 | 会津若松市 | 須賀川市 |
| 預貸率 | 46.2% | 42.9% | 48.3% | 46.1% |
| 自己資本比率 | 14.19% | 15.45% | 20.62% | 12.6% |
| 不良債権比率 | 5.62% | 5.09% | 1.41% | 2.55% |
いずれも福島県の信金。二本松は預貸率・自己資本ともに中位で、中通り北部の中小の資金需要に堅実に応える姿を映す。
二本松信用組合から——二本松信用金庫の歩み
二本松信用金庫は、1948年(昭和23年)7月、二本松信用組合として設立された。1952年(昭和27年)2月、信用金庫法に基づき二本松信用金庫へ改組した。本店は二本松市に置かれ、二本松市・本宮市・大玉村を主な営業区域として、地域に根ざしてきた。略称は「まつしん」。地方創生支援ローンやSDGsローン、新創業支援ローンなど、地域の事業づくりを後押しする融資にも取り組んでいる。
菊と城の中通り北部という土地は、信用金庫にとって堅実な地盤だ。霞ヶ城の城下町・二本松の商い、安達太良山麓の農業と酒造り、菊人形や岳温泉の観光、そして本宮や大玉に広がる地場の中小商工業——堅実だが、大型の資金需要が次々と生まれる土地ではない。預金は地域から着実に集まり、その半分弱を地域の中小に貸す。預貸率46.2%という中位の水準は、城下町を中心とする中通り北部経済の厚みと、それに堅実に応えてきた姿勢の表れだと読める。一方で、自己資本比率14.19%という厚い資本を保つのは、福島県の信金に共通する堅実さでもある。身の丈に合った貸出に徹しながら、資本の備えを欠かさない——その両面が、この信金の数字に表れていると読める。不良債権比率5.62%というやや高めの数字は、地方都市の事業の浮き沈みを地道に引き受けてきたことを映していると読める。
46.2%を、菊の城下町から読む
二本松信用金庫の預貸率46.2%という中位の水準は、菊と城の中通り北部で、城下町を中心とする中小の資金需要に、堅実に応えてきたことの表れだと読める。霞ヶ城の城下町・二本松で、信金として貸せる相手に貸してきた。預金は着実に集まり、その半分弱を地域に貸す。
そのうえで、自己資本比率14.19%という厚い資本を保っていることが、この信金の性格を物語る。身の丈に合った貸出に徹しながら、資本の備えを欠かさない。城下町の中小の資金需要に応えつつ、福島県の信金らしい堅実さも保つ——その両面が、46.2%という中位の預貸率と、14.19%という厚い自己資本に表れていると読める。菊人形と霞ヶ城のもとで、まつしんは中通り北部の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
福島の経済とともに
二本松信用金庫の数字は、菊人形と霞ヶ城の城下町という土地と、戦後に発足して地域に根ざしてきた歴史の、両方を映している。中通り北部の城下町に根ざし、身の丈に合った貸出に徹しながら、厚い資本を積んで健全性を保ってきた。菊と城の二本松という土地柄が、46.2%という中位の預貸率と、14.19%という厚い自己資本に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。二本松信用金庫を見れば、菊と城の中通り北部の経済と、そこで堅実に貸す信金の姿が浮かぶ。福島県の他の金融機関は、県都の福島信用金庫、会津の会津信用金庫、須賀川の須賀川信用金庫、白河の白河信用金庫、県内最大の地銀東邦銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。福島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福島県の地域金融機関のページへ。
二本松信用金庫は、菊人形と霞ヶ城の城下町に根ざし、堅実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。福島信用金庫・会津信用金庫・須賀川信用金庫の数値も同出典。
沿革(1948年7月に二本松信用組合として設立されたこと、1952年2月に信用金庫法に基づき二本松信用金庫へ改組したこと、本店が二本松市にあること、二本松市・本宮市・大玉村を主な営業区域とすること、略称が「まつしん」であること)=二本松信用金庫および各種公開情報にもとづく。
二本松の地理・歴史(二本松市、丹羽氏の城下町、二本松城〔霞ヶ城〕、二本松の菊人形、安達太良山、岳温泉、智恵子抄)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
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