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白河信用金庫——白河の関の城下町で、信金はなぜ厚い自己資本を持つのか

預貸率42.1%、預金2,458億円、自己資本比率20.04%、不良債権比率2.16%。白河市に本店を置く白河信用金庫。みちのくの玄関口・白河の関の城下町に根ざし、厚い自己資本と低い焦げ付きを保つ信金が、何に貸すのか。同じ福島の金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。

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福島県の白河市に本店を置く白河信用金庫は、預金2,458億円を持つ信用金庫だ。店舗16。白河市を中心に、福島県南部の県南地域を地盤としている。

本拠の白河市は、「白河の関」で知られる、みちのくの玄関口だ。古来、奥州への関門として歌枕に詠まれ、芭蕉も『おくのほそ道』で越えていった。小峰城を中心とする城下町として栄え、近世には松平定信(楽翁)が藩主を務めた。東北新幹線・東北自動車道が通り、関東圏に近い立地を生かして工業団地も整備された。だるま市でも知られる。みちのくの入口に立つ城下町——白河信用金庫は、こうした白河の関の城下町に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、自己資本比率20.04%という厚さだ。信用金庫の国内基準は4%。それを大きく超える20%台は、際立って手厚い。一方で預貸率は42.1%と、預金の4割ほどを貸出に回している。不良債権比率は2.16%と低い。なぜ、白河の信金は、これほど厚い自己資本を持ち、低い焦げ付きを保つのか。同じ福島を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。白河信用金庫の預金は2,458億円、貸出金は1,035億円。預貸率は42.1%で、預金の4割ほどを貸出に回している。自己資本比率は20.04%、不良債権比率は2.16%。店舗数は16、中小企業等への貸出残高は676億円。

同じ福島県で、ウルトラマンの故郷・須賀川の須賀川信用金庫(預貸率46.1%・不良債権比率2.55%)や、原発事故の被災地に根ざすあぶくま信用金庫(預貸率32.5%・自己資本比率35.63%)と比べると、白河信用金庫も同じく、低めの預貸率と厚い自己資本を併せ持つ。福島県の信金は、いずれも預金を集める力に対して貸出先が限られ、貸出を抑えめにして厚い資本を積む傾向がある。白河信用金庫の自己資本比率20.04%・預貸率42.1%は、その典型の一つだ。なかでも不良債権比率2.16%という低さが目を引く。みちのくの玄関口で、貸出を抑え、厚い資本を積み、焦げ付きを抑える——それが、この信金の数字の姿だ。

福島県の信用金庫の比較(令和7年3月末)
 白河信用金庫須賀川信用金庫あぶくま信金
本店白河市須賀川市南相馬市
預貸率42.1%46.1%32.5%
自己資本比率20.04%35.63%
不良債権比率2.16%2.55%

福島県の信金は、いずれも低めの預貸率と厚い自己資本を併せ持つ。白河信用金庫もその傾向にあり、なかでも不良債権比率2.16%という低さが目を引く。

白河の関の城下町とともに——白河信用金庫の歩み

白河信用金庫は、県南地域の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。城下町の商店、工業団地の中小製造業、農家、そしてみちのくの玄関口に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、県南地域に根ざす信金へと歩んできた。

白河という土地は、信用金庫にとって、預金は集まるが大規模な貸出先の限られた地盤だ。城下町の商業、関東圏に近い立地を生かした工業団地、農業——多様な需要はあるものの、規模は大きくなく、人口減少も進む。会員から集めた預金を、地元の中小に堅実に貸し、残りは有価証券などの運用に向ける——その結果、預貸率は42.1%と低めになり、運用の成果や利益の蓄積が自己資本比率20.04%という厚みになって表れる。不良債権比率2.16%という低さは、よく知る地元の事業者に見極めて貸し、焦げ付きを抑えてきたことを映す。貸出は抑えめ、資本は厚め、焦げ付きは低め——堅実そのものの数字だ。

20.04%を、白河から読む

白河信用金庫の自己資本比率20.04%という厚さは、みちのくの玄関口・白河で、貸出を抑えめにし、運用と利益の蓄積で資本を厚く積んできたことの表れだと読める。城下町と工業団地と農業を抱える県南は、預金は集まるが、大規模な貸出先の多くはない土地だ。白河信用金庫は、地元の中小に堅実に貸しつつ、残りを運用に向け、厚い自己資本を築いてきた。不良債権比率2.16%という低さは、その堅実な貸し方の裏づけだ。

預貸率42.1%という抑えめの貸出と、不良債権比率2.16%という低い焦げ付き、そして20.04%という厚い資本——この組み合わせは、白河の関の城下町で、無理に貸さず、守りを固めてきた信金の姿を映している。攻めるより守る。それが、白河信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。松平定信の質素倹約の気風を、どこか思わせる堅実さだ。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

福島の経済とともに

白河信用金庫の数字は、白河の関の城下町という土地と、そこで貸出を抑えめにして厚い資本を積む信金の歩みの、両方を映している。預金の4割ほどを地元の会員に堅実に貸し、運用と利益の蓄積で資本を厚くしながら、白河を中心とする県南地域の中小・零細事業者を支えてきた。城下町と工業団地と農業の経済が、20.04%という厚い自己資本と42.1%という低めの預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。白河信用金庫を見れば、みちのくの玄関口の経済と、そこで守りを固める信金の姿が浮かぶ。福島県の他の金融機関は、ウルトラマンの故郷・須賀川の須賀川信用金庫、原発事故の被災地に根ざすあぶくま信用金庫、県のトップバンク東邦銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。福島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福島県の地域金融機関のページへ。

白河信用金庫と融資・保証のはなし

白河信用金庫は、地域に根ざした信用金庫です。預金を運用にもあてる堅実な経営でも、いざ借りるとなれば日頃の取引と信用が土台になります。口座と信用を育てる、融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。城下町や農業が中心で大規模な貸出先の少ない土地では、預金を集める力に対して貸出が伸びにくく、預貸率が4割前後に下がることがある。残りは有価証券などの運用に向かい、その蓄積が厚い自己資本となって表れる。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の守りの厚さが見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。須賀川信用金庫・あぶくま信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(白河市に本店を置き、福島県南部の県南地域を地盤とする信用金庫であること、合併を経て県南地域に根ざす信金になったこと、白河市が「白河の関」で知られるみちのくの玄関口で古来奥州への関門として歌枕に詠まれ芭蕉も越えたこと、小峰城を中心とする城下町として栄え松平定信が藩主を務めたこと、東北新幹線・東北自動車道が通り関東圏に近い立地を生かして工業団地が整備されだるま市でも知られること)に関する記述=白河信用金庫および各種公開情報にもとづく。
白河の地理・経済(白河、白河の関、小峰城、城下町、松平定信、工業団地、だるま市、農業)に関する記述=各種公開情報。

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