岐阜商工信用組合——県都の商工信組は、なぜ預金の8割近くを貸すのか
預貸率75.6%、預金2,528億円、自己資本比率12.21%。岐阜市に本店を置く岐阜商工信用組合。県都・岐阜の商工業者に根ざす信組が、なぜ預金の8割近くを貸すのか。同じ岐阜県の信組と比べながら、その数字と歴史を読む。
岐阜県の県都・岐阜市に本店を置く岐阜商工信用組合は、預金2,528億円を持つ信用組合だ。店舗19。岐阜市を中心に、岐阜県南部の美濃地域を地盤としている。その名のとおり、県都・岐阜の商工業者を組合員の中心とする信用組合だ。
本拠の岐阜市は、長良川のほとりに開けた岐阜県の県都だ。古くから織物・アパレルの集散地として知られ、繊維問屋街が栄えた。いまも商業・サービス業に加え、地場の中小製造業が層をなす。県都として、商工業者が密集する経済圏をなしている。岐阜商工信用組合は、こうした商工業の集積する県都・岐阜に根ざし、商工業者を支えてきた信用組合だ。
この信組の数字で目を引くのは、預貸率75.6%という高さだ。預金の8割近くを貸出に回している。信用組合としても、よく貸している部類だ。なぜ、県都の商工信組は、これほどよく貸すのか。同じ岐阜県の信組とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。岐阜商工信用組合の預金は2,528億円、貸出金は1,912億円。預貸率は75.6%で、預金の8割近くを貸出に回している。自己資本比率は12.21%、不良債権比率は2.31%。店舗数は19、中小企業等への貸出残高は1,872億円。
同じ岐阜県で、高山市を地盤とする飛騨信用組合(預貸率36.0%・自己資本比率20.36%)と比べると、両者は対照的だ。岐阜商工信用組合の預貸率75.6%は飛騨信用組合(36.0%)の倍以上で、自己資本比率12.21%は飛騨信用組合(20.36%)を下回る。同じ岐阜県の信組でも、県都の岐阜商工信用組合はよく貸し、山あいの飛騨信用組合は貸出を抑えて厚い資本を積む。これは、両者の地盤の違いを映している。商工業者が密集する県都・岐阜は、信用組合が貸す相手に事欠かない土地だ。一方、山に囲まれた飛騨は、預金は集まるが貸出先に限りがある。立地する土地の資金需要の厚さが、預貸率の大きな差に表れていると読める。
| 岐阜商工信用組合 | 飛騨信用組合 | |
|---|---|---|
| 本店 | 岐阜市 | 高山市 |
| 預金 | 2,528億円 | 3,170億円 |
| 預貸率 | 75.6% | 36.0% |
| 自己資本比率 | 12.21% | 20.36% |
| 不良債権比率 | 2.31% | 4.05% |
ともに岐阜県を地盤とする二つの信組。県都の岐阜商工信用組合はよく貸し、山あいの飛騨信用組合は貸出を抑えて厚い資本を積む。立地する土地の資金需要の厚さの違いが、預貸率の大きな差に表れている。
商工の県都・岐阜とともに——岐阜商工信用組合の歩み
岐阜商工信用組合は、県都・岐阜の商工業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。繊維問屋街の商人、地場の中小製造業、県都の商店、そして商工に関わる事業者——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。岐阜商工信用組合は、商工業者という明確な基盤のもと、県都・岐阜とともに歩んできた。
岐阜という土地は、信用組合にとって、組合員の資金需要の厚い地盤だ。県都として商業・サービス業が集積し、繊維・アパレルの問屋街、地場の中小製造業が層をなす。商工業者が密集し、運転資金や設備投資の需要がある。商工業者という基盤に密着し、組合員との関係のもとで深く貸す——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率75.6%という高さの背景にあると読める。県都の商工業者の旺盛な資金需要に応えて、預金の8割近くを貸出に回せるのだと読める。
75.6%を、商工の県都から読む
岐阜商工信用組合の預貸率75.6%という高さは、商工業者が密集する県都・岐阜で、組合員の資金需要によく応えていることの表れだと読める。繊維問屋・地場製造業・商店という商工業者が層をなす岐阜は、信用組合が貸す相手に事欠かない土地だ。岐阜商工信用組合は、商工業者という明確な基盤に密着して深く貸し、預金の8割近くを貸出に回している。同じ岐阜県でも、山あいの飛騨信用組合が預貸率36.0%にとどまるのとは対照的に、県都の商工の地盤が高い預貸率を支えている。
自己資本比率12.21%という水準は、信用組合として手堅い。不良債権比率2.31%という数字も、よく貸す信組として低めに抑えられている。県都・岐阜の商工業者に深く貸し、資金需要によく応えながら、焦げ付きも抑える——それが、岐阜商工信用組合の数字に表れた生き方だと読める。商工業者という明確な基盤を持つ信用組合の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
岐阜の経済とともに
岐阜商工信用組合の数字は、商工業の集積する県都・岐阜という土地と、そこで商工業者に深く貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の8割近くを地元の組合員に貸し、県都の商工業者を支えてきた。繊維・製造・商業の集まる岐阜の経済が、75.6%という高い預貸率に表れている。
銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。岐阜商工信用組合を見れば、商工の県都・岐阜の経済と、そこで商工業者に貸す信組の姿が浮かぶ。岐阜県の他の金融機関は、対照的な山あいの飛騨信用組合、県都の大型信金岐阜信用金庫、県トップの地銀十六銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。岐阜県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、岐阜県の地域金融機関のページへ。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。飛騨信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(岐阜市に本店を置き、岐阜県南部の美濃地域を地盤とする信用組合であること、商工業者を組合員の中心とすること、岐阜が長良川のほとりに開けた県都で繊維・アパレルの集散地・問屋街が栄えたこと、地場の中小製造業が層をなすこと)に関する記述=岐阜商工信用組合および各種公開情報にもとづく。
岐阜の地理・経済(長良川、県都、美濃、繊維、アパレル、問屋街、中小製造業)に関する記述=各種公開情報。