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群馬県信用組合——県名を冠す信組は、西毛で何に貸すか

預貸率36.3%、預金2,284億円、自己資本比率8.57%、不良債権比率7.85%。群馬県安中市に本店を置く群馬県信用組合。県名を冠しながら県南西部・西毛を地盤とする「けんしんよう」が、何に貸すのか。同じ群馬の信用組合と比べながら、その数字と歴史を読む。

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群馬県の安中市に本店を置く群馬県信用組合は、預金2,284億円を持つ信用組合だ。店舗22。地元では「けんしんよう」と呼ばれる。県名を冠してはいるが、営業地域は群馬県の全域ではなく、高崎市を含む県南西部——いわゆる「西毛(せいもう)」を主な地盤としている。

本拠を置く安中市と、その周辺の西毛地域は、群馬県の南西部にあたる一帯だ。高崎・富岡・安中・甘楽・藤岡などを含み、関東平野の西の縁、妙義山や碓氷峠へとつながる土地である。世界遺産の富岡製糸場に象徴される養蚕・製糸の歴史を持ち、いまは内陸の製造業や農業、そして交通の要衝・高崎を中心とする商業が経済を形づくる。群馬県信用組合は、こうした西毛の地に根ざし、地域の中小・零細事業者と住民を組合員として支えてきた信用組合だ。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率36.3%という低さと、不良債権比率7.85%というやや高めの数字だ。預金の4割ほどしか貸出に回していない一方、焦げ付きはやや高い。なぜ、県名を冠す西毛の信組は、こうした数字になるのか。同じ群馬を地盤とする信用組合とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。群馬県信用組合の預金は2,284億円、貸出金は830億円。預貸率は36.3%で、預金の4割弱を貸出に回している。自己資本比率は8.57%、不良債権比率は7.85%。店舗数は22、中小企業等への貸出残高は798億円、貸出先は6千件を超える。

同じ群馬県を地盤とするぐんまみらい信用組合(預貸率57.6%・不良債権比率6.75%)と比べると、両者は群馬の信用組合だが、貸す姿勢に差がある。高崎を中心とするぐんまみらい信用組合が預金の6割近くを貸出に回すのに対し、群馬県信用組合の預貸率36.3%はかなり低い。一方、不良債権比率は群馬県信用組合(7.85%)がぐんまみらい信用組合(6.75%)をやや上回る。同じ群馬の信用組合でも、貸す量にはっきりした違いがある。西毛という、人口や事業者の数に限りのある一帯で、預金は集まるが貸出先は限られ、預金の残りは運用に向かっていると読める。

群馬県の二つの信用組合(令和7年3月末)
 群馬県信用組合ぐんまみらい信用組合
本店安中市高崎市
預金2,284億円2,774億円
預貸率36.3%57.6%
自己資本比率8.57%13.75%
不良債権比率7.85%6.75%

ともに群馬の信用組合だが、貸す量に差がある。西毛を地盤とする群馬県信用組合の低い預貸率が、貸出先の限られた土地の事情を映している。

西毛の地とともに——群馬県信用組合の歩み

群馬県信用組合は、1988年(昭和63年)4月、複数の信用組合が合併して設立された信用組合だ。県名を冠してはいるが、合併によって受け継いだ営業地域は県南西部の西毛が中心で、いまも高崎・富岡・安中・甘楽・藤岡・前橋(一部を除く)などを地盤としている。南牧村の指定金融機関も受託している。西毛の養蚕・製糸に連なる事業者、内陸の製造業、農家、商店、そして住民——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。2020年には店舗内店舗方式で複数の支店を統合するなど、限られた商圏のなかで効率を保つ工夫も重ねてきた。

西毛という土地は、信用組合にとって、預金は集まるが貸出先の限られた地盤だ。養蚕・製糸で栄えた歴史を持つが、産業構造は変わり、人口も減りつつある。地元の中小と住民に密着して貸そうにも、その相手の数には限りがある——この事情が、預貸率36.3%という低い水準の背景にあると読める。集めた預金のうち貸出に回しきれない部分は、有価証券などの運用に向かう。

36.3%と7.85%を、西毛から読む

群馬県信用組合の預貸率36.3%という低さは、西毛という、預金は集まるが貸出先の限られた一帯の事情の表れだと読める。養蚕・製糸の歴史を持つ西毛は、産業構造の変化と人口減を抱え、信用組合が貸す相手の数に限りがある。群馬県信用組合は、地縁・人縁のもとで地元に貸しつつ、預金の6割超を運用に向けている。

一方、不良債権比率7.85%というやや高めの数字は、限られた貸出先のなかで、産業構造の変化にさらされる地元の事業者の浮き沈みを引き受けてきたことを映す。貸す量は多くないが、貸した相手は産地の変化や後継ぎの事情に揺れやすく、焦げ付きを一定程度抱えやすい。自己資本比率8.57%は、信用組合として基準を満たす水準だ。西毛の地で、限られた貸出先に地縁で貸し、その浮き沈みを引き受けながら、預金の多くを運用に向ける——それが、群馬県信用組合の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

群馬の経済とともに

群馬県信用組合の数字は、西毛という土地と、そこで限られた貸出先に地縁で貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の4割弱を地元の組合員に貸し、残りを運用に向けながら、西毛の中小・零細事業者と住民を支えてきた。養蚕・製糸の歴史を持ち、産業構造の変化と人口減を抱える西毛の経済が、36.3%という低い預貸率と、7.85%というやや高めの焦げ付きに表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。群馬県信用組合を見れば、西毛の経済と、そこで地縁に貸す信組の姿が浮かぶ。群馬県の他の金融機関は、高崎のぐんまみらい信用組合、赤城山を望むあかぎ信用組合、高崎の高崎信用金庫、県を代表する群馬銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。群馬県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、群馬県の地域金融機関のページへ。

群馬県信用組合と融資・保証のはなし

預貸率36.3%の群馬県信用組合は、預金を運用にもあてる信用組合です。こうした金融機関とまず築きたいのは、預金や取引の実績。口座と信用を育てていくための基礎を、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。産業構造の変化や人口減で貸出先が限られる土地では、預金は集まっても貸出に回しきれず、預金の多くを有価証券などの運用に向け、預貸率が低くなることがある。不良債権比率や自己資本比率とあわせて見ることで、その信組の置かれた地盤が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。ぐんまみらい信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(安中市に本店を置き、高崎市を含む群馬県南西部〈西毛〉を主な営業地域とする信用組合であること、1988年4月に複数の信用組合が合併して設立されたこと、高崎・富岡・安中・甘楽・藤岡・前橋〈一部を除く〉などを地盤とし南牧村の指定金融機関を受託していること、2020年に店舗内店舗方式で複数支店を統合したこと、西毛が世界遺産・富岡製糸場に象徴される養蚕・製糸の歴史を持ち、いま内陸の製造業・農業・高崎を中心とする商業が経済を形づくっていること)に関する記述=群馬県信用組合および各種公開情報にもとづく。
安中・西毛の地理・経済(安中、高崎、富岡、甘楽、藤岡、西毛、養蚕、製糸、富岡製糸場、妙義山、碓氷峠)に関する記述=各種公開情報。

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