空知信用金庫——米とワインの岩見沢で、そらちしんきんは何に貸すか
預貸率44.8%、預金3,279億円、自己資本比率16.71%、不良債権比率3.01%。北海道岩見沢市に本店を置く空知信用金庫。米とワインの空知平野に根ざす「そらちしんきん」が、何に貸すのか。同じ北海道の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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北海道の岩見沢市に本店を置く空知信用金庫は、預金3,279億円を持つ信用金庫だ。店舗21。地元で「そらちしんきん」と呼ばれ、南空知の岩見沢・美唄・三笠を中心に、石狩・苫小牧・小樽、そして札幌にまで広がる。米とワインの空知平野に根ざす信金だ。
本拠の岩見沢市は、北海道の中央西部、石狩平野の東に広がる空知地方の中心都市だ。かつて空知一帯は、北海道有数の炭田(空知炭田)として栄え、岩見沢は石炭輸送の鉄道の要衝として発展した。炭鉱の閉山後は、広大な石狩平野を生かした米づくりが地域の柱となり、空知は北海道を代表する米どころとなった。さらに近年は、岩見沢周辺の丘陵地でワイン用ぶどうの栽培とワイナリーが広がり、「そらちワイン」として全国に知られるようになった。空知信用金庫は、こうした米とワインの空知平野に根ざし、農業と地場の中小、住民に貸してきた。地元のワイナリーを資金面で支えてきたことでも知られる。
この信金の数字を見ると、預貸率44.8%という水準に対し、自己資本比率16.71%という厚さが目を引く。預金3,279億円の信金が、なぜこれほど資本を厚く保つのか。同じ北海道の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。空知信用金庫の預金は3,279億円、貸出金は1,468億円。預貸率は44.8%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は16.71%、不良債権比率は3.01%。店舗数は21。
同じ北海道の信金と比べてみる。名寄の北星信用金庫(預貸率41.0%・自己資本比率16.5%)、留萌の留萌信用金庫(預貸率51.6%・自己資本比率16.65%)、滝川の北門信用金庫(預貸率41.3%・自己資本比率16.59%)と並べると、空知信用金庫の預貸率44.8%は、北海道の地方信金として標準的な中位だ。北海道の信金は、広大な農業地帯を地盤とし、大型の資金需要が乏しいため、預貸率は4~5割に収まることが多い。空知もその傾向のなかにある。注目すべきは自己資本比率16.71%という厚さで、これは北海道の地方信金に共通する特徴でもある。広い大地で堅実に貸し、資本を厚く積む——農業地帯の信金らしい守りの堅さがうかがえる。不良債権比率3.01%は低く、堅実に貸してきたことをうかがわせる。
| 空知信用金庫 | 北星信用金庫 | 留萌信用金庫 | 北門信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 岩見沢市 | 名寄市 | 留萌市 | 滝川市 |
| 預貸率 | 44.8% | 41.0% | 51.6% | 41.3% |
| 自己資本比率 | 16.71% | 16.5% | 16.65% | 16.59% |
| 不良債権比率 | 3.01% | 2.38% | 2.66% | 1.27% |
いずれも北海道の地方信金。預貸率は4~5割、自己資本比率はそろって16%台と厚い。広大な農業地帯で堅実に貸す姿を映す。
大正14年の創業から——空知信用金庫の歩み
空知信用金庫は、1925年(大正14年)に創業した。空知炭田で栄える岩見沢の商工業者と、周辺の農家を支える組合として生まれた。戦後の信用金庫法施行を経て信用金庫となり、本店は岩見沢市に置かれた。愛称は「そらちしんきん」、金融機関コードは1004。1976年に制定されたシンボルマークは、本店所在地・岩見沢市の鳥である鳩をモチーフに、地域社会・会員・信用金庫の三者の協調を、大空に羽ばたく鳩になぞらえたものだという。2011年には、長年の地域貢献活動が評価され、全国信用金庫協会から社会貢献賞の最高賞「会長賞」を受けている。
空知平野という土地は、信用金庫にとって時代とともに姿を変える地盤だった。かつては空知炭田の石炭産業が地域を支えたが、炭鉱の閉山後は、広大な石狩平野の米づくりが柱となった。そして近年は、岩見沢周辺の丘陵でワイン用ぶどうの栽培が広がり、新たなワイナリーが次々と生まれている。空知信金は、この炭鉱から米、そしてワインへと移りゆく地域経済に、その時々で寄り添ってきた。とりわけ、立ち上げに資金を要するワイナリーを支えてきたことは、地域の未来に賭ける信金の姿勢を示している。預貸率44.8%という中位の水準は、農業地帯で堅実に貸してきた表れだ。そして自己資本比率16.71%という厚い資本は、米とワインの大地で無理をせず、健全性を保ちながら地域に貸し続けてきた、その積み重ねの結果だと読める。不良債権比率3.01%という低さも、堅実な貸出姿勢を裏づけている。
44.8%を、空知平野から読む
空知信用金庫の預貸率44.8%という中位の水準と、自己資本比率16.71%という厚さの組み合わせは、炭鉱から米、そしてワインへと移りゆく空知平野で、農業と地場の中小に堅実に貸しながら、資本を厚く積んできたことの表れだと読める。広大な農業地帯で大型の資金需要は乏しいが、その分、無理に貸さず健全性を保つ。預金は着実に集まり、その4割強を地域に貸す。
そのうえで、ワイナリーのような地域の新しい挑戦を資金面で支えてきたことが、この信金の性格を物語る。厚い資本を土台に、米とワインの大地の未来に賭ける——その堅実さと前向きさの両立が、44.8%という預貸率と、16.71%という厚い自己資本に表れていると読める。米とワインの岩見沢で、そらちしんきんは空知地方の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
北海道の経済とともに
空知信用金庫の数字は、米とワインの空知平野という土地と、炭鉱の時代から地域とともに姿を変えて歩んできた歴史の、両方を映している。農業と地場の中小に堅実に貸しながら、厚い資本を積み、地域の新しい挑戦を支えてきた。広大な農業地帯という土地柄と、未来に賭ける姿勢が、44.8%という預貸率と、16.71%という厚い自己資本に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。空知信用金庫を見れば、米とワインの空知平野の経済と、そこで地域の未来を支える信金の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、名寄の北星信用金庫、道南の道南うみ街信用金庫、釧路の釧路信用金庫、道内最大の地銀北海道銀行、北洋銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。
空知信用金庫は、米とワインの空知平野に根ざし、厚い資本を土台に農業と地域の挑戦を支える信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。北星信用金庫・留萌信用金庫・北門信用金庫の数値も同出典。
沿革(1925年に創業したこと、本店が岩見沢市にあること、愛称が「そらちしんきん」であること、金融機関コードが1004であること、南空知を中心に石狩・苫小牧・小樽・札幌を営業区域とすること、1976年制定のシンボルマークが岩見沢市の鳥・鳩をモチーフとすること、2011年に全国信用金庫協会の社会貢献賞「会長賞」を受けたこと)=空知信用金庫および各種公開情報にもとづく。
空知・岩見沢の地理・歴史(岩見沢市、石狩平野、空知炭田、米づくり、ワイン、ワイナリー、そらちワイン)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
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