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十勝信用組合——農業王国・十勝で、信組はなぜ預金の8割近くを貸すのか

預貸率78.2%、預金641億円、自己資本比率11.3%、不良債権比率2.06%。北海道帯広市に本店を置く十勝信用組合。日本最大の畑作・酪農地帯・十勝に根ざし、預金の8割近くを貸す信組が、何に貸すのか。同じ十勝の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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北海道の帯広市に本店を置く十勝信用組合は、預金641億円を持つ信用組合だ。店舗8。帯広市内を中心に、幕別町・上士幌町にも店舗を構える。本店は帯広市大通南に立つ。十勝管内に根ざす、小ぶりな信用組合だ。

本拠の十勝は、北海道の東部に広がる、日本最大の畑作・酪農地帯だ。広大な平野に小麦・てんさい・じゃがいも・豆類の畑が広がり、乳牛が草を食む。帯広市はその中核都市であり、農産物の集散と食品加工の拠点でもある。十勝信用組合は、こうした農業王国・十勝の土地に根ざしてきた信用組合だ。キャッチフレーズには「ちかくにいるから、チカラになれる。」を掲げている。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率78.2%という高さだ。預金の8割近くを貸出に回している。北海道の信用金庫には預貸率の低い「守りの信金」が多いなかで、際立って貸している。不良債権比率2.06%は低い水準だ。なぜ、十勝の信組は、こうした数字になるのか。同じ十勝を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。十勝信用組合の預金は641億円、貸出金は501億円。預貸率は78.2%で、預金の8割近くを貸出に回している。自己資本比率は11.3%、不良債権比率は2.06%。店舗数は8、中小企業等への貸出残高は492億円。

同じ十勝で、農協と連携しながら預金の多くを運用に向ける帯広信用金庫(預貸率41.8%・預金8,635億円)と比べると、両者の貸し方は対照的だ。十勝信用組合の預貸率78.2%は帯広信用金庫(41.8%)を大きく上回り、はるかに高い比率で貸している。一方、規模は帯広信用金庫が13倍以上大きい。農業金融の多くを農協が担う十勝で、大型信金は運用に向かい、小さな信組は組合員に深く貸す——同じ土地の二つの協同組織金融機関が、規模と貸し方で好対照をなしていると読める。

十勝の二つの協同組織金融機関(令和7年3月末)
 十勝信用組合帯広信用金庫
本店帯広市帯広市
預金641億円8,635億円
預貸率78.2%41.8%
不良債権比率2.06%3.37%

ともに帯広市に本店を置く協同組織金融機関。規模では大きく違い、貸し方も対照的。小さな信組は組合員に深く貸し、大型信金は運用に向かう。

十勝の組合員とともに——十勝信用組合の歩み

十勝信用組合は、1956年(昭和31年)8月、組合員の経済的地位の向上を目的として設立された。以来、帯広市を中心に十勝管内の中小・零細事業者や住民の相互扶助の金融機関として歩んできた。本店の建物は、かつての根室銀行帯広支店の建物を引き継いだものと伝えられ、開拓と金融の歴史を今に残している。母子・父子家庭の高校生に返還不要の奨学金を給付したり、子ども食堂の運営を寄付で支援したりといった、地域に根ざした取り組みも公表している。

十勝という土地は、信用組合にとって、貸す相手のある地盤だ。農業そのものの資金は農協(JA)が大きく担うが、その周辺には食品加工、運送、建設、商店、サービス業といった無数の中小・零細事業者が広がる。組合員という限られた枠のなかで、こうした地元の事業者に深く貸す——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率78.2%という高い水準を支えている。不良債権比率2.06%という低さは、顔の見える組合員に密着して貸し、堅実に審査してきたことを映していると読める。自己資本比率11.3%は、信用組合として堅実な水準だ。

78.2%を、十勝から読む

十勝信用組合の預貸率78.2%という水準は、農業王国・十勝で、組合員という枠のなかの中小・零細事業者に深く貸していることの表れだと読める。農業金融の多くを農協が担う十勝で、信用組合は食品加工・運送・建設・商店といった農業の周辺の事業者に密着して貸す。十勝信用組合は、その顔の見える組合員に深く踏み込んで貸し、預金の8割近くを貸出に回している。

不良債権比率2.06%という低い焦げ付きは、組合員を見て堅実に貸してきたことの表れだと読める。自己資本比率11.3%という堅実な資本とあわせて、小さいながらよく貸し、よく守ってきた姿が浮かぶ。「ちかくにいるから、チカラになれる」を掲げ、十勝の組合員に深く貸す——それが、十勝信用組合の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

北海道の経済とともに

十勝信用組合の数字は、農業王国・十勝という土地と、そこで組合員に深く貸す小さな信組の歩みの、両方を映している。預金の8割近くを地元の組合員に貸し、低い焦げ付きを保ちながら、十勝の中小・零細事業者を支えてきた。畑作と酪農、そしてその周辺の食と産業の経済が、78.2%という預貸率に表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。十勝信用組合を見れば、十勝の経済と、そこで組合員に深く貸す信組の姿が浮かぶ。北海道の他の金融機関は、同じ十勝の帯広信用金庫、道都の北海道信用金庫、札幌の北央信用組合もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。北海道の他の金融機関と並べて眺めたい方は、北海道の地域金融機関のページへ。

十勝信用組合と融資・保証のはなし

十勝信用組合は、組合員に深く貸す信用組合です。借りる側にとって、土台になるのは日頃の取引と信用。創業・事業の資金から保証制度まで、知っておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。信用組合は、組合員という限られた枠のなかで顔の見える事業者に密着して貸すため、地域によっては預貸率が7割を超えて高くなることがある。不良債権比率とあわせて見ることで、その信組の貸し方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。帯広信用金庫の数値も同出典。
沿革(1956年(昭和31年)8月に組合員の経済的地位の向上を目的として設立されたこと、帯広市を中心に幕別町・上士幌町に店舗をもつこと、本店建物がかつての根室銀行帯広支店を引き継いだものと伝えられること、母子・父子家庭の高校生への返還不要の奨学金給付や子ども食堂の運営支援などに取り組むこと、「ちかくにいるから、チカラになれる。」を掲げること)=十勝信用組合および各種公開情報にもとづく。
十勝・帯広の地理・経済(十勝、帯広、畑作、酪農、小麦、てんさい、じゃがいも、豆類、乳牛、食品加工、農協)に関する記述=各種公開情報。

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