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鹿児島相互信用金庫——南九州の「かそしん」は、なぜよく貸し、なぜ焦げ付くのか

預貸率64.2%、預金5,789億円、自己資本比率8.22%、不良債権比率7.91%、店舗57。鹿児島市に本店を置く鹿児島相互信用金庫。南九州に根ざし、多くの店舗で深く貸す信金が、何に貸すのか。同じ鹿児島の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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鹿児島県の鹿児島市に本店を置く鹿児島相互信用金庫は、預金5,789億円を持つ信用金庫だ。店舗57。「かそしん」の愛称で知られ、鹿児島市を中心に、県本土の広い範囲を地盤としている。店舗57、中小企業等への貸出先2万8千を超えるという数は、信用金庫としては大きい部類だ。

本拠の鹿児島市は、桜島を望む南九州最大の都市だ。市街地の目の前に活火山がそびえ、いまも噴煙を上げる。薩摩の城下町として栄え、明治維新の立役者を多く輩出した土地でもある。畜産(黒豚・黒牛)、焼酎、茶、観光が地場の産業として根づき、温暖な気候のもと農業も盛んだ。鹿児島相互信用金庫は、こうした南九州に根ざし、多くの店舗で県本土を支えてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率64.2%という高めの水準と、不良債権比率7.91%という高さだ。よく貸す一方で、焦げ付きも高めに出ている。自己資本比率8.22%は、これまで見てきた信金の中ではやや薄い。なぜ、南九州の信金は、こうした数字になるのか。同じ鹿児島を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。鹿児島相互信用金庫の預金は5,789億円、貸出金は3,719億円。預貸率は64.2%で、預金の6割を超えて貸出に回している。自己資本比率は8.22%、不良債権比率は7.91%。店舗数は57、中小企業等への貸出残高は3,485億円、貸出先は2万8千を超える。

同じ鹿児島市に本店を置く鹿児島信用金庫(預金3,220億円・預貸率68.2%・不良債権比率2.26%)と比べると、二つの信金は、ともに高めの預貸率でよく貸すが、焦げ付きには大きな差がある。鹿児島相互信用金庫の不良債権比率7.91%は、鹿児島信用金庫の2.26%を大きく上回る。預貸率はどちらも6割台で、ともに南九州でよく貸している。だが、規模では鹿児島相互信用金庫が一回り大きく、店舗も多い。同じ県都の二信金が、ともによく貸しながら、焦げ付きの抱え方では異なる姿を見せていると読める。

鹿児島市の二つの信用金庫(令和7年3月末)
 鹿児島相互信金鹿児島信用金庫
本店鹿児島市鹿児島市
預金5,789億円3,220億円
預貸率64.2%68.2%
自己資本比率8.22%
不良債権比率7.91%2.26%
店舗57

同じ鹿児島市に本店を置く二信金。ともに高めの預貸率でよく貸すが、不良債権比率には大きな差がある。規模・店舗数は鹿児島相互信用金庫が上回る。

南九州とともに——鹿児島相互信用金庫の歩み

鹿児島相互信用金庫は、南九州の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。畜産農家、焼酎の蔵元、茶農家、観光・サービス業、地元の商店や町工場、そして県本土に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を重ねて、県本土に広く根ざす信金へと歩んできた。店舗57、貸出先2万8千超という規模は、この合併の歴史と、深く広い地盤を映している。

南九州という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要のある地盤だ。畜産・焼酎・茶・観光といった地場産業に連なる中小・零細事業者が、県本土に広く点在する。そうした地域に多くの店舗を置き、中小に深く貸す——この姿勢が、預貸率64.2%という高めの水準を支えている。一方、不良債権比率7.91%という高さは、地場産業や零細事業者の浮き沈みを、深く貸すぶん多く引き受けてきた跡だと読める。自己資本比率8.22%は、信用金庫の国内基準4%を上回るが、これまで見てきた信金の中ではやや薄めだ。よく貸し、深く関わるぶん、焦げ付きと資本のバランスには気を配る必要がある立ち位置だと読める。

64.2%と7.91%を、南九州から読む

鹿児島相互信用金庫の預貸率64.2%という高さと、不良債権比率7.91%という高さは、南九州で、多くの店舗を通じて中小・零細に深く貸してきたことの、表裏一体の表れだと読める。深く貸せば、地域の事業の浮き沈みも、そのぶん多く引き受けることになる。畜産・焼酎・茶・観光といった地場産業は、天候や市況、人口減の影響を受けやすい。鹿児島相互信用金庫は、その層に店舗網で密着し、預金の6割を超えて貸し、結果として高めの焦げ付きも抱えている。

自己資本比率8.22%というやや薄めの資本のもとで、預貸率64.2%・不良債権比率7.91%という数字をどう読むか。南九州の中小に深く寄り添い、よく貸す一方で、地域の浮き沈みを引き受けてきた——それが、鹿児島相互信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。攻めの姿勢と、それに伴う焦げ付きの両方を抱える信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

鹿児島の経済とともに

鹿児島相互信用金庫の数字は、桜島を望む南九州という土地と、そこで中小に深く貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の6割を超えて地元の会員に貸し、多くの店舗で県本土を支えながら、畜産・焼酎・茶・観光の中小・零細事業者に寄り添ってきた。深く貸すぶん焦げ付きも引き受ける——その姿が、64.2%という預貸率と7.91%という不良債権比率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。鹿児島相互信用金庫を見れば、南九州の経済と、そこで中小に深く貸す信金の姿が浮かぶ。鹿児島県の他の金融機関は、同じ鹿児島市の鹿児島信用金庫、奄美の奄美大島信用金庫、県のトップバンク鹿児島銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。鹿児島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、鹿児島県の地域金融機関のページへ。

鹿児島相互信用金庫と融資・保証のはなし

本業の事業融資に踏み込むなら、知っておきたいのが融資の進め方と保証のしくみです。創業期から事業の拡大まで、南九州で事業を営む立場で押さえておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。多くの店舗で中小・零細に深く貸す信金では、預貸率が6割を超えることがある一方、地場産業や零細事業者の浮き沈みを引き受けるぶん、不良債権比率が高めに出ることもある。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の貸し方とリスクの抱え方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。鹿児島信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(鹿児島市に本店を置き、「かそしん」の愛称で知られ、鹿児島市を中心に県本土の広い範囲を地盤とする信用金庫であること、合併を重ねて県本土に広く根ざす信金になり店舗・貸出先が多いこと、鹿児島市が桜島を望む南九州最大の都市で薩摩の城下町として栄え明治維新の立役者を多く輩出したこと、畜産・焼酎・茶・観光が地場産業として根づき農業も盛んなこと)に関する記述=鹿児島相互信用金庫および各種公開情報にもとづく。
鹿児島・南九州の地理・経済(鹿児島、桜島、薩摩、城下町、畜産、黒豚、焼酎、茶、観光)に関する記述=各種公開情報。

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