熊本中央信用金庫——水の都・熊本で、中央信金は何に貸すか
預貸率52.2%、預金2,061億円、自己資本比率10.2%、不良債権比率1.3%。熊本県熊本市に本店を置く熊本中央信用金庫。不良債権比率1.3%という県内で際立つ低さを軸に、水の都・熊本に根ざす「中央信金」が何に貸すのか。同じ熊本の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
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熊本県の熊本市中央区に本店を置く熊本中央信用金庫は、預金2,061億円を持つ信用金庫だ。店舗19。地元で「中央信金」と呼ばれ、熊本市を中心に、県南部、荒尾・玉名地域に支店を広げている。水の都・熊本に根ざす信金だ。
本拠の熊本市は、九州中央部、阿蘇の伏流水が湧き出す水の都だ。市内の水道水のほぼすべてを地下水でまかなう、全国でも稀な都市として知られる。加藤清正が築いた熊本城を中心に、城下町として発展し、九州を代表する商工業都市となった。背後には阿蘇の山々、有明海に向けては平野が広がり、農業も盛んだ。熊本中央信金は、こうした水の都・熊本を中心とする県中央部から県南部に根ざし、地域の中小事業者と住む人々に貸してきた。熊本市内には熊本・熊本第一・熊本中央という3つの信金が本店を構え、競い合う激戦区でもある。
この信金の数字でまず目を引くのは、不良債権比率1.3%という、熊本県の信金のなかで際立って低い数字だ。預貸率52.2%と、預金の半分強を貸出に回しながら、これだけ低い不良債権比率を保つ。中央信金は、どう貸してきたのか。同じ熊本の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。熊本中央信用金庫の預金は2,061億円、貸出金は1,076億円。預貸率は52.2%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は10.2%、そして不良債権比率は1.3%。店舗数は19。
同じ熊本県の信金と比べてみる。熊本市の熊本信用金庫(預貸率61.9%・不良債権比率1.81%)、熊本第一信用金庫(預貸率55.4%・不良債権比率3.57%)、天草の天草信用金庫(預貸率49.7%・不良債権比率8.98%)と並べると、熊本中央信用金庫の不良債権比率1.3%は、県内の信金で最も低い。預貸率52.2%は熊本市内の3信金のなかではやや低めだが、貸した先の健全性は最も高い。激戦区の熊本市内で、無理に貸出を伸ばすのではなく、貸す先を厳しく見極め、不良債権を徹底して抑える堅実経営がうかがえる。自己資本比率10.2%は標準的だが、不良債権の少なさが、その資本の質を裏づけている。
| 熊本中央信用金庫 | 熊本信用金庫 | 熊本第一信用金庫 | 天草信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 熊本市 | 熊本市 | 熊本市 | 天草市 |
| 預貸率 | 52.2% | 61.9% | 55.4% | 49.7% |
| 不良債権比率 | 1.3% | 1.81% | 3.57% | 8.98% |
| 自己資本比率 | 10.2% | 11.38% | 9.56% | 20.57% |
いずれも熊本県の信金。中央信金の不良債権比率1.3%は県内で最も低い。激戦区で貸す先を厳しく見極める堅実さを映す。
水俣の信用組合から——熊本中央信用金庫の歩み
熊本中央信用金庫の起源は、1923年(大正12年)12月、水俣に設立された「有限責任水俣信用組合」にさかのぼる。県南の水俣を発祥とし、戦後の改組と、近隣の信用組合・信用金庫との合併を重ねて育った。1971年(昭和46年)には有明信用金庫と合併し、名称を「熊本中央信用金庫」に変更。営業地区は県下一円へと広がり、店舗網も玉名・荒尾・中央など県北・県南に広がった。1980年(昭和55年)6月、本店を水俣市から熊本市へ移転し、県都に拠点を構えた。通称は「中央信金」、マスコットは鼠の「チューちゃん」と「そなえちゃん」。2023年(令和5年)12月に創立100周年を迎え、「いつも、近く。いつも、そばに。〜Thinking Bank〜」というブランドスローガンを掲げ、取引先に寄り添う伴走型支援を進めている。
水の都・熊本を中心とする県中央部から県南部という土地は、信用金庫にとって、激戦区でもあり、広い地盤でもある。熊本市内には3つの信金が本店を構えて競い合い、加えて県南の水俣から県北の荒尾・玉名まで、合併を重ねて広がった営業地区を持つ。この広く競争の激しい地で、中央信金は貸す先を厳しく見極める堅実経営を貫いてきた。預貸率52.2%という、預金の半分強を貸す水準を保ちながら、不良債権比率1.3%という県内最低の数字を実現しているのは、その表れだ。激戦区で量を追えば、貸出は伸びても不良債権が膨らみやすい。だが中央信金は、量より質を選び、健全な貸出を積み重ねてきた。創立100年を超えてなお、水俣に始まった堅実さが、この低い不良債権比率に受け継がれていると読める。
1.3%を、水の都から読む
熊本中央信用金庫の不良債権比率1.3%という県内最低の数字は、3つの信金が競い合う激戦区・熊本で、貸す先を厳しく見極め、健全な貸出を積み重ねてきたことの表れだと読める。預貸率52.2%と、預金の半分強を地域に貸しながら、これだけ不良債権を抑えるのは、量を追わず質を守る経営の成果だ。
そのうえで、水俣の信用組合に始まり、合併を重ねて県都に拠点を移してきた歴史が、この信金の堅実さを物語る。広く競争の激しい地盤で、無理な貸出を避け、取引先に寄り添う伴走型支援で健全な融資を積み重ねる。水の都・熊本で、量より質を選ぶ——その姿勢が、52.2%という預貸率と、1.3%という際立って低い不良債権比率に表れていると読める。水の都・熊本で、中央信金は熊本の経済とともに歩んでいる。預貸率や不良債権比率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
熊本の経済とともに
熊本中央信用金庫の数字は、水の都・熊本という土地と、水俣に始まり合併を重ねて県都に拠点を移してきた歴史の、両方を映している。3つの信金が競う激戦区で、貸す先を厳しく見極め、県内で最も低い不良債権比率を保ってきた。激戦区という土地柄と、量より質を選ぶ堅実な経営が、52.2%という預貸率と、1.3%という際立って低い不良債権比率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。熊本中央信用金庫を見れば、水の都・熊本の経済と、そこで量より質を選ぶ信金の姿が浮かぶ。熊本県の他の金融機関は、熊本信用金庫、熊本第一信用金庫、天草の天草信用金庫、県内最大の地銀肥後銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。熊本県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、熊本県の地域金融機関のページへ。
熊本中央信用金庫は、3信金が競う激戦区・熊本で、貸す先を厳しく見極め、県内最低の不良債権比率を保つ信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。熊本信用金庫・熊本第一信用金庫・天草信用金庫の数値も同出典。
沿革(起源が1923年12月設立の「有限責任水俣信用組合」にさかのぼること、かつて水俣市に本店を置いていたこと、1971年に有明信用金庫と合併し熊本中央信用金庫に名称変更したこと、1980年6月に本店を熊本市へ移転したこと、本店が熊本市中央区にあること、通称が「中央信金」であること、熊本市・県南部・荒尾・玉名地域を営業区域とし熊本県外に店舗を持たないこと、熊本市内に熊本・熊本第一・熊本中央の3信金が本店を構えること、2023年12月に創立100周年を迎えたこと、ブランドスローガン「いつも、近く。いつも、そばに。〜Thinking Bank〜」を掲げ伴走型支援を進めていること、マスコットが「チューちゃん」「そなえちゃん」であること)=熊本中央信用金庫および各種公開情報にもとづく。
熊本・水俣の地理・歴史(熊本市、水の都、阿蘇、伏流水、地下水、熊本城、加藤清正、有明海、水俣市)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
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