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笠岡信用組合——全国有数の規模の信組は、瀬戸内でなぜ焦げ付きが低いのか

預貸率57.6%、預金5,684億円、不良債権比率1.7%。笠岡市に本店を置く笠岡信用組合。信用組合として全国有数の規模を持つ「かさしん」が、なぜよく貸しながら焦げ付きを低く保つのか。その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 岡山県

岡山県の笠岡市に本店を置く笠岡信用組合は、地元で「かさしん」と呼ばれる信用組合だ。預金5,684億円、店舗17。信用組合として全国でも有数の規模を持つ。笠岡市を中心に、岡山県西部から広島県東部にかけてを地盤としている。瀬戸内の小さな港町に本店を置きながら、信組としては屈指の規模を誇る。

本拠の笠岡市は、岡山県の西の端、広島県との県境に近い瀬戸内海沿いの街だ。かつては北前船の寄港地として、また笠岡諸島を擁する漁業のまちとして栄えた。周辺は瀬戸内の温暖な気候のもと、農業・漁業・地場の製造業が広がる。岡山県西部から広島県東部の備後地域にかけては、繊維やものづくりの中小事業者も多い。笠岡信用組合は、こうした瀬戸内の県境地域に根ざしてきた信用組合だ。

この信組の数字で目を引くのは、5,684億円という信組屈指の規模、預貸率57.6%、そして不良債権比率1.7%という低さだ。よく貸しながら、焦げ付きは低い。なぜ、瀬戸内の信組は、これほどの規模を持ちながら、焦げ付きを低く保つのか。数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。笠岡信用組合の預金は5,684億円、貸出金は3,276億円。預貸率は57.6%で、預金の6割近くを貸出に回している。自己資本比率は10.99%、不良債権比率は1.7%と低い。店舗数は17、中小企業等への貸出残高は2,748億円。

注目すべきは、信用組合としての規模の大きさだ。信用組合は、組合員である中小・零細事業者に貸す相手が限られるため、預金規模は信用金庫より小さいことが多い。そのなかで、笠岡信用組合の預金5,684億円は、信用組合として全国でも有数の大きさだ。しかも、預貸率57.6%でよく貸しながら、不良債権比率は1.7%と低い。よく貸す信組は焦げ付きも高めになりがちだが、笠岡信用組合は、規模の大きさとよく貸す姿勢を保ちつつ、焦げ付きを低く抑えている。これは、瀬戸内の地盤で、組合員との長い関係のもと、貸出先を堅実に見極めてきたことの表れだと読める。

笠岡信用組合の主要指標(令和7年3月末)
預金5,684億円
貸出金3,276億円
預貸率57.6%
自己資本比率10.99%
不良債権比率1.7%
店舗数17
中小企業等貸出残高2,748億円

信用組合として全国有数の規模を持ちながら、預貸率57.6%でよく貸し、不良債権比率1.7%と焦げ付きが低い。規模・貸出・健全性を高い水準で両立する姿が数字に表れている。

瀬戸内の県境とともに——笠岡信用組合の歩み

笠岡信用組合は、瀬戸内の県境地域の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。笠岡の商店、瀬戸内の漁師、岡山県西部から広島県東部の中小事業者——こうした人々が組合員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。笠岡信用組合は、組合員との長い関係を積み重ねながら、信用組合として全国有数の規模へと成長してきた。

瀬戸内の県境という土地は、信用組合にとって、地元の中小に密着して貸す地盤だ。岡山県西部から広島県東部の備後地域には、繊維やものづくりの中小事業者が層をなす。笠岡信用組合は、県境をまたいでこの地域に店舗を広げ、組合員である中小事業者に深く貸してきた。地元の中小に密着し、組合員との関係のもとで貸出先を見極める——この信用組合ならではの貸し方が、預貸率57.6%でよく貸しながら、不良債権比率1.7%という低い焦げ付きを保つ背景にあると読める。

1.7%を、瀬戸内の信組から読む

笠岡信用組合の不良債権比率1.7%という低さは、信組屈指の規模を持ちながら、組合員との長い関係のもとで貸出先を堅実に見極めてきたことの表れだと読める。信用組合は、組合員という限られた範囲に貸すぶん、相手の事業をよく知る立場にある。笠岡信用組合は、その強みを生かして、よく貸しながらも焦げ付きを低く抑えてきた。預貸率57.6%という水準は、瀬戸内の中小の資金需要によく応えていることを示す。

自己資本比率10.99%という水準も、信用組合として手堅い。瀬戸内の県境で、組合員の中小に深く貸し、関係のもとで焦げ付きを低く抑え、堅実に資本を積む——それが、笠岡信用組合の数字に表れた生き方だと読める。規模・貸出・健全性を高い水準で両立するこの姿は、地域に密着した信用組合の一つの到達点だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

笠岡の経済とともに

笠岡信用組合の数字は、瀬戸内の県境地域という土地と、そこで組合員の中小に深く貸しながら焦げ付きを低く保つ大型信組の歩みの、両方を映している。預金の6割近くを地元に貸しながら、関係のもとで焦げ付きを低く抑え、堅実に資本を積んできた。瀬戸内の中小に密着する経済が、5,684億円という信組屈指の規模と、1.7%という低い焦げ付きに表れている。

銀行や信用金庫・信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。笠岡信用組合を見れば、瀬戸内の県境地域の中小の経済と、そこに深く根ざす大型信組の姿が浮かぶ。岡山県の他の金融機関は、美作の城下町の津山信用金庫、県トップの地銀中国銀行、第二地銀のトマト銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。岡山県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、岡山県の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。信用組合は、組合員である中小・零細事業者に貸す相手が限られるが、組合員の事業をよく知る立場にある。その強みを生かすと、よく貸しながらも焦げ付きを低く抑えることができる。不良債権比率とあわせて見ることで、どれだけ堅実に貸しているかがより立体的に見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。
沿革・地域(笠岡市に本店を置き、岡山県西部から広島県東部にかけてを地盤とする信用組合であること、信用組合として全国有数の規模を持つこと、笠岡が北前船の寄港地・漁業のまちとして栄えた瀬戸内の港町であること、岡山県西部から広島県東部の備後地域に繊維・ものづくりの中小が多いこと)に関する記述=笠岡信用組合および各種公開情報にもとづく。
笠岡・瀬戸内の地理・経済(瀬戸内海、笠岡諸島、北前船、漁業、備後地域、繊維、ものづくり)に関する記述=各種公開情報。

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