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大阪商工信用金庫——なにわの商工信金は、なぜ預金の7割を貸すのか

預貸率70.5%、預金7,387億円、自己資本比率11.28%、不良債権比率3.63%。大阪市に本店を置く大阪商工信用金庫。商都・なにわに根ざす信金が、なぜ預金の7割を貸すのか。同じ大阪の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 大阪府

大阪府の大阪市に本店を置く大阪商工信用金庫は、預金7,387億円を持つ信用金庫だ。店舗21。大阪市を中心に、大阪の都心部を地盤としている。その名のとおり、商都・なにわの商工業者を会員の中心とする信用金庫だ。地元では「しょうしん」と呼ばれる。

本拠の大阪市は、古くから「天下の台所」と呼ばれた、日本有数の商都だ。船場・本町をはじめとする問屋街、卸・小売の商業、町工場や中小製造業が、都心に密集している。なにわの商人の伝統が息づく、商工業者の層の厚い土地だ。大阪商工信用金庫は、こうした商都・なにわの都心に根ざし、商工業者を支えてきた信金だ。

この信金の数字で目を引くのは、預貸率70.5%という高さだ。預金の7割を貸出に回している。信用金庫としても、際立ってよく貸している部類だ。店舗はわずか21で、一店あたりの規模が大きい。なぜ、なにわの商工信金は、これほどよく貸すのか。同じ大阪の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。大阪商工信用金庫の預金は7,387億円、貸出金は5,209億円。預貸率は70.5%で、預金の7割を貸出に回している。自己資本比率は11.28%、不良債権比率は3.63%。店舗数は21、中小企業等への貸出残高は4,797億円。中小企業等への貸出先数は5,312先で、貸出残高に対して先数が少なく、一件あたりの貸出が比較的大きいのが特徴だ。

同じ大阪市を地盤とする大阪信用金庫(預貸率62.6%・店舗70)と比べると、大阪商工信用金庫のほうが、預貸率は高く、店舗はずっと少ない。大阪商工信用金庫の預貸率70.5%は大阪信用金庫(62.6%)を上回り、より多く貸している。店舗数は大阪商工信用金庫(21)が大阪信用金庫(70)を大きく下回る。大阪商工信用金庫は、都心の商工業者という明確な基盤に絞り、少ない店舗で大きく貸す姿勢が数字に表れている。広く薄くではなく、商都の都心に集中して深く貸す信金だと読める。

大阪市を地盤とする二つの信用金庫(令和7年3月末)
 大阪商工信用金庫大阪信用金庫
本店大阪市大阪市
預金7,387億円2兆5,353億円
預貸率70.5%62.6%
自己資本比率11.28%14.39%
店舗数2170

ともに大阪市を地盤とする二つの信金。大阪商工信用金庫は預貸率が高く、店舗は少ない。都心の商工業者に絞り、少ない店舗で大きく貸す姿が数字に表れている。

商都・なにわとともに——大阪商工信用金庫の歩み

大阪商工信用金庫は、商都・なにわの商工業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。船場・本町の問屋、卸・小売の商人、都心の町工場や中小製造業、そして商工に関わる事業者——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。大阪商工信用金庫は、商工業者という明確な基盤のもと、商都・なにわの都心とともに歩んできた。

大阪という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要の厚い地盤だ。「天下の台所」と呼ばれた商都の都心には、問屋街の卸商、小売、町工場、中小製造業が密集し、運転資金や仕入れ資金の需要がある。商工業者という明確な基盤に密着し、会員との関係のもとで深く貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率70.5%という高さの背景にあると読める。少ない店舗で都心に集中するからこそ、一件あたりの貸出も大きくなる。商都の商工業者の旺盛な資金需要に応えて、預金の7割を貸出に回せるのだと読める。

70.5%を、商都・なにわから読む

大阪商工信用金庫の預貸率70.5%という高さは、商工業者が密集する商都・なにわの都心で、会員の資金需要によく応えていることの表れだと読める。船場・本町の問屋、卸・小売、町工場という商工業者が層をなす大阪の都心は、信用金庫が貸す相手に事欠かない土地だ。大阪商工信用金庫は、商工業者という明確な基盤に絞り、少ない店舗で大きく貸し、預金の7割を貸出に回している。同じ大阪でも、広く店舗を構える大阪信用金庫とは対照的に、都心に集中する姿勢が高い預貸率を支えている。

不良債権比率3.63%という数字は、これだけよく貸す信金として、抑えめに保たれている。自己資本比率11.28%も、信用金庫の国内基準4%を十分に上回る。商都・なにわの都心で、商工業者に集中して深く貸し、資金需要によく応えながら、焦げ付きも抑える——それが、大阪商工信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。商工業者という明確な基盤を持つ信用金庫の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

大阪の経済とともに

大阪商工信用金庫の数字は、商都・なにわの都心という土地と、そこで商工業者に集中して深く貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の7割を地元の会員に貸し、少ない店舗で商都の商工業者を支えてきた。船場・本町の問屋、卸・小売、町工場の集まるなにわの都心の経済が、70.5%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大阪商工信用金庫を見れば、商都・なにわの都心の経済と、そこで商工業者に貸す信金の姿が浮かぶ。大阪府の他の金融機関は、広く店舗を構える大阪信用金庫、府内最大級の大阪シティ信用金庫、厚い資本の大阪厚生信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。預貸率が高い金融機関は、地元の資金需要によく応えている一つの目安になる。商工業者が密集する商都の都心のような土地では、会員の資金需要が厚く、明確な基盤に絞って少ない店舗で大きく貸す信用金庫は、預金の7割を超えて貸出に回すこともある。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大阪信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(大阪市に本店を置き、大阪の都心部を地盤とする信用金庫であること、商工業者を会員の中心とすること、大阪が「天下の台所」と呼ばれた商都で船場・本町をはじめとする問屋街・卸・小売の商業・町工場や中小製造業が都心に密集すること)に関する記述=大阪商工信用金庫および各種公開情報にもとづく。
大阪・なにわの地理・経済(大阪、なにわ、天下の台所、商都、船場、本町、問屋街、町工場)に関する記述=各種公開情報。

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