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小松川信用金庫——都内最古の信金は、荒川沿いの下町で何に貸すか

預貸率61.1%、預金1,594億円、自己資本比率11.09%、不良債権比率1.96%。東京都江戸川区に本店を置く小松川信用金庫。1918年に生まれた都内最古の信金が、荒川沿いの下町で何に貸すのか。同じ城東の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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東京都の江戸川区に本店を置く小松川信用金庫は、預金1,594億円を持つ信用金庫だ。店舗10。「こましん」の呼び名で知られ、江戸川区の平井に本店を構え、江戸川区・葛飾区・江東区に店舗を展開する。荒川沿いの下町に根ざす、城東の信金だ。

本拠の小松川・平井は、荒川と中川にはさまれた東京の下町だ。かつては小松菜の産地として知られ(その名が地名の由来とも言われる)、町工場と住宅、商店が密に重なり合う庶民の街として発展してきた。城東のこの一帯は、墨田・江東・葛飾とともに、東京のものづくりと暮らしを支える下町文化圏を形づくる。小松川信用金庫は、こうした荒川沿いの下町に根ざし、地域の中小事業者と住民に貸してきた。そして、この信金には際立った歴史がある。1918年(大正7年)の創立で、都内の信用金庫では最も古い歴史を持つのだ。

この信金の数字は、預貸率61.1%、自己資本比率11.09%、不良債権比率1.96%。預金の6割超を貸出に回しつつ、焦げ付きは2%を切る。なぜ、下町最古の信金が、こうした数字になるのか。同じ城東の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。小松川信用金庫の預金は1,594億円、貸出金は974億円。預貸率は61.1%で、預金の6割超を貸出に回している。自己資本比率は11.09%、不良債権比率は1.96%。店舗数は10。

同じ城東・湾岸の信金と比べてみる。墨田を地盤とする巨大信金東京東信用金庫(預貸率55.3%・預金2兆825億円)、都県境の東京ベイ信用金庫(預貸率62.6%・預金5,845億円)と並べると、小松川信用金庫の預貸率61.1%は、城東の信金として高めの水準にある。預金規模1,594億円は東京東(2兆825億円)の10分の1以下と小規模だが、預貸率では引けを取らない。少ない店舗で、下町の中小事業者によく貸している。目を引くのは不良債権比率1.96%という低さで、城東の信金のなかでも低めに抑えられている。小規模ながら、下町の事業者を顔の見える関係で見極め、堅実に貸してきたことの表れだと読める。

東京・城東の信用金庫(令和7年3月末)
 小松川信用金庫東京東信用金庫東京ベイ信用金庫
本店江戸川区墨田区千葉県市川市
預貸率61.1%55.3%62.6%
自己資本比率11.09%11.65%
不良債権比率1.96%3.12%2.86%

いずれも東京湾岸・城東圏の信金。小松川は小規模ながら高めの預貸率と低い焦げ付きを保つ。

小松川町の購買組合から——小松川信用金庫の歩み

小松川信用金庫は、1918年(大正7年)11月、産業組合法に基づく「有限責任小松川町信用購買組合」として設立された。これは都内の信用金庫のなかで最も古い創立であり、2018年(平成30年)11月には創立100周年を迎えた。1932年(昭和7年)に有限責任小松川町信用組合、1950年(昭和25年)に小松川信用組合、そして1952年(昭和27年)に信用金庫法の制定に伴い小松川信用金庫へと改組した。荒川沿いの下町・小松川の地で、一世紀を超えて地域とともに歩んできた。2001年(平成13年)からは「Σ(シグマ)バンク」の名で、東榮信用金庫・亀有信用金庫・足立成和信用金庫と提携関係にある。

荒川沿いの下町という土地は、信用金庫にとって資金需要に富む地盤だ。町工場、商店、住宅が密に重なるこの一帯では、ものづくりや商いの設備・運転の資金需要が絶えない。小松川信用金庫は、「地域と共に、次の未来へ」を掲げ、わずか10店という少ない店舗で、下町の中小事業者と住民に密着して貸してきた。100年を超える歴史のなかで積み重ねた地縁・人縁が、この信金の強みだ。預貸率61.1%という城東で高めの水準は、その密着の表れであり、不良債権比率1.96%という低さは、顔の見える関係で事業者を見極め、堅実に貸してきたことを映していると読める。都内最古という看板に甘んじることなく、下町の暮らしと商いをいまも支えている。

61.1%を、下町から読む

小松川信用金庫の預貸率61.1%という城東で高めの水準は、荒川沿いの下町で、町工場や商店といった中小事業者によく貸してきたことの表れだと読める。わずか10店という少ない店舗ながら、下町の資金需要に深く応えてきた。

そのうえで、不良債権比率1.96%という低さが、この信金の性格を物語る。よく貸しながら、焦げ付きを低く抑える。100年を超えて積み重ねた地縁・人縁で、下町の事業者を顔の見える関係で見極める——その堅実さが、61.1%という預貸率と、1.96%という低い不良債権比率に表れていると読める。都内最古の信金として、下町とともに一世紀を歩み、いまも貸し続けている。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

東京の経済とともに

小松川信用金庫の数字は、荒川沿いの下町という地盤と、都内最古の信金として一世紀を歩んできた歴史の、両方を映している。少ない店舗で下町の中小事業者によく貸し、低い焦げ付きを保ちながら、小松川の暮らしと商いを支えてきた。下町のものづくりと暮らしが、61.1%という預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。小松川信用金庫を見れば、荒川沿いの下町の経済と、そこで堅実に貸す最古の信金の姿が浮かぶ。東京の他の金融機関は、墨田の巨大信金東京東信用金庫、都県境の東京ベイ信用金庫、墨田の下町信組中ノ郷信用組合、人を見て貸す巨大信金城南信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

小松川信用金庫と融資のはなし

小松川信用金庫は、荒川沿いの下町に根ざし、都内最古の歴史を持つ信用金庫です。地元の中小事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

不良債権比率とは 不良債権比率とは、貸出金の総額のうち、返済が滞るなどして回収に懸念のある債権が占める割合。低いほど、貸出の焦げ付きが少なく、貸し方が健全であることを示す。小規模な信金が低い不良債権比率を保つのは、顔の見える関係で事業者を見極め、丁寧に貸してきたことをうかがわせる。預貸率とあわせて見ることで、その信金の貸し方の質が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。東京東信用金庫・東京ベイ信用金庫の数値も同出典。
沿革(1918年11月に「有限責任小松川町信用購買組合」として設立されたこと、これが都内の信用金庫で最も古い創立であること、2018年11月に創立100周年を迎えたこと、1952年に信用金庫法の制定に伴い小松川信用金庫へ改組したこと、本店が江戸川区平井にあること、江戸川区・葛飾区・江東区に店舗を持つこと、2001年から「Σバンク」の名で東榮・亀有・足立成和の各信用金庫と提携していること)=小松川信用金庫および各種公開情報にもとづく。
小松川・城東の地理(江戸川区、平井、小松川、荒川、中川、下町、城東)に関する記述=各種公開情報。

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