砺波信用金庫——散居村とチューリップの砺波で、となみしんは何に貸すか
預貸率44.7%、預金830億円、自己資本比率12.16%、不良債権比率8.77%。富山県南砺市に本店を置く砺波信用金庫。散居村とチューリップの砺波平野に根ざす砺波信金が、何に貸すのか。同じ富山の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
- 2026.06.19【保証協会】26年度補正予算成立、セーフティネット保証5号の事前相談を開始。指定業種で、直近月の売上高が前年同月比で5%以上減少等の要件(経産省PDF)を満たす中小事業者が対象。
富山県の南砺市福野に本店を置く砺波信用金庫は、預金830億円を持つ信用金庫だ。店舗9。南砺市・砺波市・小矢部市など、富山県西部の砺波地方を地盤とする。散居村とチューリップの砺波平野に根ざす信金だ。
本拠の砺波地方は、富山県の南西部、庄川がつくった扇状地に広がる砺波平野だ。この平野は、家々が屋敷林(カイニョ)に囲まれて田園のなかに点々と散らばる散居村の景観で全国に知られる。一軒一軒が自分の田を見渡せるように散らばって住む、独特の農村のかたちだ。あわせて砺波は、球根栽培に適した気候を生かしたチューリップの主産地で、春の「となみチューリップフェア」は全国から人を集める。本店のある南砺市福野や、世界遺産・五箇山の合掌造りもこの地方にある。砺波信用金庫は、こうした散居村と花の砺波平野に根ざし、農業と地場の中小、住民に貸してきた。
この信金の数字を見ると、預貸率44.7%という中位の水準に対し、不良債権比率8.77%という、富山県の信金のなかで際立って高い数字が目を引く。預金830億円という小規模な信金が、地域の事業の浮き沈みをどれだけ引き受けてきたのか。同じ富山の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。砺波信用金庫の預金は830億円、貸出金は371億円。預貸率は44.7%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は12.16%、不良債権比率は8.77%。店舗数は9。
同じ富山県の信金と比べてみる。県内最大の富山信用金庫(預貸率47.2%・不良債権比率3.23%)、高岡の高岡信用金庫(預貸率48.3%・不良債権比率5.7%)、小矢部の石動信用金庫(預貸率48.4%・不良債権比率4.89%)と並べると、砺波信用金庫の預貸率44.7%は中位だが、不良債権比率8.77%は富山の信金のなかで突出して高い。富山信金(3.23%)の倍以上だ。預金830億円という小規模な信金で、貸出先の中小や農業の経営の厳しさが、この高い不良債権比率に表れていると読める。自己資本比率12.16%は信用金庫として標準的な水準を保っており、高い不良債権を抱えながらも、資本の備えは欠かしていないことがうかがえる。
| 砺波信用金庫 | 富山信用金庫 | 高岡信用金庫 | 石動信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 南砺市 | 富山市 | 高岡市 | 小矢部市 |
| 預貸率 | 44.7% | 47.2% | 48.3% | 48.4% |
| 自己資本比率 | 12.16% | 15.94% | 13.14% | 15.75% |
| 不良債権比率 | 8.77% | 3.23% | 5.7% | 4.89% |
いずれも富山県の信金。砺波は預貸率こそ中位だが、不良債権比率が突出して高い。小規模な信金が農村部の事業の厳しさを引き受けてきた姿を映す。
福野町信用組合から——砺波信用金庫の歩み
砺波信用金庫は、1929年(昭和4年)3月1日、「福野町信用組合」として営業を開始した。砺波平野の在郷町・福野の商工業者と農家を支える組合だった。1950年(昭和25年)に砺波信用組合と改称し、1951年(昭和26年)10月、信用金庫法の制定に伴い砺波信用金庫に改組した。本店は南砺市福野に置かれ、金融機関コードは1412。「共に咲く喜び」を掲げ、散居村と花の砺波平野で、地域とともに歩んできた。
散居村と花の砺波平野という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。広大な散居村の農業、チューリップ球根の栽培、五箇山を含む山間部、そして南砺・砺波・小矢部の地場の中小——人口減少と高齢化が進む農村部を主な地盤とする。預金830億円という小規模な信金にとって、こうした地盤は、堅実だが事業の浮き沈みを受けやすい。不良債権比率8.77%という高い数字は、農村部の中小や農業の経営の厳しさを、小さな信金が地道に引き受けてきたことの表れだと読める。それでも預貸率44.7%を保ち、自己資本比率12.16%という標準的な資本を維持していることは、地域に貸す役割を果たしながら、健全性も守ろうとしてきた姿勢の表れだ。地元に深く根ざす小規模信金ならではの、地域と苦楽をともにする経営がうかがえる。
44.7%を、散居村から読む
砺波信用金庫の預貸率44.7%という中位の水準と、不良債権比率8.77%という高さの組み合わせは、散居村と花の砺波平野で、人口減少が進む農村部の中小と農業に貸し続け、その経営の厳しさを引き受けてきたことの表れだと読める。預金830億円という小さな信金が、地域の資金需要に応えながら、事業の浮き沈みをともに背負ってきた。
そのうえで、自己資本比率12.16%という標準的な資本を保っていることが、この信金の姿勢を物語る。高い不良債権を抱えながらも、資本の備えを欠かさず、地域に貸し続ける。散居村の暮らしと苦楽をともにしながら、地域に根ざす——その姿が、44.7%という預貸率と、8.77%という不良債権比率に表れていると読める。チューリップと散居村の砺波で、となみしんは砺波平野の経済とともに歩んでいる。預貸率や不良債権比率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
富山の経済とともに
砺波信用金庫の数字は、散居村とチューリップの砺波平野という土地と、福野の在郷町に生まれ農村部に根ざしてきた歴史の、両方を映している。人口減少が進む農村部の中小と農業に貸し続け、その経営の厳しさを引き受けながら、標準的な資本を保ってきた。散居村と花の砺波平野という土地柄が、44.7%という預貸率と、8.77%という不良債権比率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。砺波信用金庫を見れば、散居村と花の砺波平野の経済と、そこで地域と苦楽をともにする小規模信金の姿が浮かぶ。富山県の他の金融機関は、県内最大の富山信用金庫、高岡の高岡信用金庫、射水の新湊信用金庫、県内最大の地銀北陸銀行、富山銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。富山県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、富山県の地域金融機関のページへ。
砺波信用金庫は、散居村とチューリップの砺波平野に根ざし、農村部の中小と農業に貸し続ける小規模な信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。富山信用金庫・高岡信用金庫・石動信用金庫の数値も同出典。
沿革(1929年3月1日に「福野町信用組合」として営業を開始したこと、1950年に砺波信用組合と改称したこと、1951年10月に信用金庫法の制定に伴い砺波信用金庫に改組したこと、本店が南砺市福野にあること、金融機関コードが1412であること、南砺・砺波・小矢部の砺波地方を地盤とすること)=砺波信用金庫および各種公開情報にもとづく。
砺波の地理・歴史(南砺市、砺波市、砺波平野、庄川扇状地、散居村、屋敷林、チューリップ、となみチューリップフェア、福野、五箇山)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。