西中国信用金庫——関門の本州西端で、43店の信金は何に貸すか
預貸率54.3%、預金5,110億円、自己資本比率9.56%、不良債権比率6.29%、店舗43。下関市に本店を置く西中国信用金庫。関門海峡を望む本州西端に根ざし、県内最多級の店舗網で貸す信金が、何に貸すのか。同じ山口の金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。
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山口県の下関市に本店を置く西中国信用金庫は、預金5,110億円を持つ信用金庫だ。店舗43。「にししん」の愛称で知られ、下関市を中心に、山口県西部から北部にかけて広く地盤としている。店舗43という数は、信用金庫としては多い部類だ。
本拠の下関市は、関門海峡を望む本州の西端の街だ。海峡を挟んで対岸は北九州市。古くは赤間関(あかまがせき)と呼ばれ、海上交通の要衝として栄えた。ふぐ(ふく)の水揚げで全国に知られ、水産業が地場産業として根づく。源平の壇ノ浦、幕末の下関戦争、日清講和の春帆楼——歴史の舞台にもたびたび登場した港町だ。西中国信用金庫は、こうした関門の本州西端に根ざし、県西部から北部の広い範囲を、多くの店舗で支えてきた信金だ。
この信金の数字で目を引くのは、店舗43という多さと、預貸率54.3%という標準的な水準だ。一方で不良債権比率は6.29%とやや高い。なぜ、本州西端の信金は、これだけ多くの店舗を持ち、こうした数字になるのか。同じ山口を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。西中国信用金庫の預金は5,110億円、貸出金は2,776億円。預貸率は54.3%で、預金の半分強を貸出に回している。自己資本比率は9.56%、不良債権比率は6.29%。店舗数は43、中小企業等への貸出残高は2,294億円。
同じ山口県で、防府を地盤とする東山口信用金庫(預貸率50.9%・不良債権比率2.63%)や、山口県信用組合(預貸率76.2%・不良債権比率8.68%)と比べると、西中国信用金庫は、店舗の多さと広い地盤が際立つ。預貸率54.3%は東山口信用金庫をやや上回り、預金の半分強を貸出に回している。不良債権比率6.29%は東山口信用金庫より高いが、山口県信用組合よりは低い。本州西端から県北部まで、広い範囲を43の店舗で支える——それが、この信金の特徴だ。
| 西中国信金 | 東山口信金 | 山口県信組 | |
|---|---|---|---|
| 本店 | 下関市 | 防府市 | 下関市 |
| 預金 | 5,110億円 | 2,053億円 | 268億円 |
| 預貸率 | 54.3% | 50.9% | 76.2% |
| 不良債権比率 | 6.29% | 2.63% | 8.68% |
| 店舗 | 43 | — | — |
西中国信用金庫は、店舗43という多さと広い地盤が際立つ。本州西端から県北部まで、多くの店舗で支える。
本州西端とともに——西中国信用金庫の歩み
西中国信用金庫は、山口県西部の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。下関の水産業者、関門の物流・商業、県西部・北部の商店や町工場、農家、そして本州西端に住む人々——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を重ねて、県西部から北部に広く根ざす信金へと歩んできた。店舗43という多さは、この合併の歴史と、広く分散した地盤を映している。
本州西端という土地は、信用金庫にとって、広く薄く会員の点在する地盤だ。下関の市街地に加え、県西部から北部にかけては、山あいや海沿いの小さな町が点在する。そうした地域に店舗を置き、地元の中小に密着して貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、43という多めの店舗数と、預貸率54.3%という水準を支えている。自己資本比率9.56%は、信用金庫の国内基準4%を上回り、健全な水準だ。不良債権比率6.29%はやや高めだが、水産業や地場産業、人口減の進む地域の事業の浮き沈みを引き受けてきた跡だと読める。
54.3%を、関門から読む
西中国信用金庫の預貸率54.3%という水準と店舗43という多さは、本州西端から県北部まで、広い範囲の会員に、多くの店舗で貸していることの表れだと読める。下関の水産・物流・商業、県西部・北部に点在する中小・零細事業者は、信用金庫が貸す相手の広がる土地だ。西中国信用金庫は、その層に店舗網で密着し、預金の半分強を貸出に回している。
自己資本比率9.56%という健全な資本と、不良債権比率6.29%というやや高めの焦げ付きは、広い地盤で会員に貸し、地域の浮き沈みを引き受けてきたことを映す。本州西端の広い土地を、多くの店舗で支え、中小に密着して貸す——それが、西中国信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。店舗網で地域を面で支える信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
山口の経済とともに
西中国信用金庫の数字は、関門の本州西端という土地と、そこで広い範囲を多くの店舗で支える信金の歩みの、両方を映している。預金の半分強を地元の会員に貸し、健全な資本を保ちながら、下関を中心とする県西部・北部の中小・零細事業者を支えてきた。本州西端の広い地盤と水産業を含む地場経済が、54.3%という預貸率と43という店舗数に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。西中国信用金庫を見れば、関門・本州西端の経済と、そこで店舗網で地域を支える信金の姿が浮かぶ。山口県の他の金融機関は、防府の東山口信用金庫、山口県信用組合、県のトップバンク山口銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。山口県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、山口県の地域金融機関のページへ。
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執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。東山口信用金庫・山口県信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(下関市に本店を置き、「にししん」の愛称で知られ、下関市を中心に山口県西部から北部にかけて広く地盤とする信用金庫であること、合併を重ねて県西部から北部に広く根ざす信金になり店舗が多いこと、下関市が関門海峡を望む本州の西端で海峡を挟んで対岸が北九州市であること、古くは赤間関と呼ばれ海上交通の要衝として栄えたこと、ふぐの水揚げで全国に知られ水産業が地場産業として根づくこと、壇ノ浦・下関戦争・春帆楼など歴史の舞台になったこと)に関する記述=西中国信用金庫および各種公開情報にもとづく。
下関・関門の地理・経済(下関、関門海峡、本州西端、赤間関、ふぐ、水産業、壇ノ浦、春帆楼)に関する記述=各種公開情報。
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