半田信用金庫——酢のまち・半田で、はんしんは知多半島に何を貸すか
預貸率43.8%、預金3,270億円、自己資本比率11.4%、不良債権比率3.8%。愛知県半田市に本店を置く半田信用金庫。酢のまち・半田に根ざし、知多半島に広がる「はんしん」が、何に貸すのか。同じ愛知の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。
愛知県の半田市に本店を置く半田信用金庫は、預金3,270億円を持つ信用金庫だ。店舗20。地元で「はんしん」と呼ばれ、半田市を中心に、知多半島の大府・東海・知多・常滑・武豊・東浦、さらに名古屋市南部にまで広がる。酢のまち・半田に根ざす信金だ。
本拠の半田市は、愛知県の知多半島の中心都市だ。江戸期から醸造業が栄え、いまも食酢の最大手・ミツカンが本社を構える「酢のまち」として知られる。半田運河沿いに連なる黒板囲いの蔵や、赤レンガ建物(旧カブトビール工場)が、醸造のまちの面影を伝える。春には知多半島各地で勇壮な山車祭りが繰り広げられ、童話作家・新美南吉(『ごんぎつね』)のふるさととしても親しまれる。半田信用金庫は、こうした醸造と山車のまち・半田に根ざし、知多半島の中小事業者と住民に貸してきた。なお同じ半田市には、より規模の大きい知多信用金庫も本店を置いており、二つの信金が並び立つ土地でもある。
この信金の数字を見ると、預貸率43.8%という、信用金庫として中位の水準が目を引く。預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は11.4%。知多半島の信金は、何に貸しているのか。同じ愛知の信金とも比べながら、数字を読みにいく。
数字を並べてみる
まず、絶対値から。半田信用金庫の預金は3,270億円、貸出金は1,432億円。預貸率は43.8%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は11.4%、不良債権比率は3.8%。店舗数は20。
同じ愛知県の信金と比べてみる。同じ半田市に本店を置き知多半島最大の知多信用金庫(預貸率49.4%・預金8,986億円)、三河湾の蒲郡信用金庫(預貸率43.2%・自己資本比率14.0%)、東三河の豊橋信用金庫(預貸率43.6%)と並べると、半田信用金庫の預貸率43.8%は、これらの信金とほぼ並ぶ中位だ。同じ半田の知多信金(49.4%)よりやや控えめで、蒲郡(43.2%)・豊橋(43.6%)とほぼ同水準。愛知の信金は、トヨタを頂点とする製造業の集積地にありながら、大企業の資金は地銀やメガバンクが担うため、預貸率は4割台に収まることが多い。半田もその傾向のなかにある。自己資本比率11.4%は標準的な水準だ。不良債権比率3.8%も標準的で、堅実に貸してきたことをうかがわせる。
| 半田信用金庫 | 知多信用金庫 | 蒲郡信用金庫 | 豊橋信用金庫 | |
|---|---|---|---|---|
| 本店 | 半田市 | 半田市 | 蒲郡市 | 豊橋市 |
| 預貸率 | 43.8% | 49.4% | 43.2% | 43.6% |
| 自己資本比率 | 11.4% | 11.38% | 14.0% | 16.04% |
| 不良債権比率 | 3.8% | 3.94% | 4.16% | 2.67% |
いずれも愛知県の信金。半田は同じ半田市の知多信金よりやや控えめで、蒲郡・豊橋とほぼ並ぶ中位。知多半島の中小に貸す姿を映す。
半田商工信用組合から——半田信用金庫の歩み
半田信用金庫は、1931年(昭和6年)5月、「有限責任半田商工信用組合」として設立された。醸造業をはじめとする半田の商工業者が、その名のとおり「商工」の発展を担う組合として立ち上げたものだ。1943年(昭和18年)に市街地信用組合へ転換し、1951年(昭和26年)10月、信用金庫法に基づき半田信用金庫となった。本店は半田市御幸町に置かれ、通称は「はんしん」。「地域のくらしの応援団」を掲げ、知多半島の暮らしと商いを支えてきた。
醸造と山車のまち・半田という土地は、信用金庫にとって独特の地盤だ。ミツカンに代表される醸造業、知多半島の地場の中小製造業、常滑の窯業、農業と漁業、そして名古屋都市圏に連なる住宅地——多様な経済が広がる。しかし、ミツカンのような大企業の資金は、地銀やメガバンクが担う。信金が貸すのは、その周辺と裾野に広がる中小だ。だから預貸率は4割台にとどまる。同じ半田市に知多信金という規模の大きい信金が並び立つなかで、半田信金は預金3,270億円という堅実な基盤を保ち、知多半島の中小に着実に貸してきた。預貸率43.8%という中位の水準は、その堅実な姿勢の表れだ。自己資本比率11.4%という標準的な資本と、不良債権比率3.8%という標準的な数字は、無理をせず地域とともに歩む、この信金らしいバランスを映していると読める。
43.8%を、酢のまちから読む
半田信用金庫の預貸率43.8%という中位の水準は、大企業の資金は地銀が担い、信金は知多半島の中小の裾野に貸すという構造のなかで、酢のまち・半田から知多半島の中小に着実に貸してきたことの表れだと読める。同じ半田の知多信金よりやや控えめで、蒲郡・豊橋とほぼ並ぶ。預金は着実に集まり、その4割強を地域に貸す。
同じ半田市に二つの信金が並び立つというのは、全国でも珍しい。それでも半田信金は、預金3,270億円という堅実な基盤を保ち、「地域のくらしの応援団」として知多半島の暮らしと商いに寄り添ってきた。規模を競うより、地域に着実に根ざす——その姿勢が、43.8%という中位の預貸率に表れていると読める。酢のまち・半田で、はんしんは知多半島の経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。
愛知の経済とともに
半田信用金庫の数字は、酢のまち・半田という土地と、商工の組合として生まれ知多半島に根ざしてきた歴史の、両方を映している。ミツカンを擁する醸造のまちで、大企業ではなく中小の裾野に着実に貸しながら、堅実な基盤と資本を保ってきた。知多半島の多様な経済という土地柄が、43.8%という中位の預貸率に表れている。
銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。半田信用金庫を見れば、酢のまち・半田から知多半島の経済と、そこで地域に着実に貸す信金の姿が浮かぶ。愛知県の他の金融機関は、同じ半田の知多信用金庫、三河湾の蒲郡信用金庫、東三河の豊橋信用金庫、岡崎の岡崎信用金庫、県内最大の地銀愛知銀行、名古屋銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。愛知県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、愛知県の地域金融機関のページへ。
半田信用金庫は、酢のまち・半田に根ざし、知多半島の中小に着実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。
執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)
出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。知多信用金庫・蒲郡信用金庫・豊橋信用金庫の数値も同出典。
沿革(1931年5月に「有限責任半田商工信用組合」として設立されたこと、1951年10月に信用金庫法に基づき半田信用金庫となったこと、本店が半田市御幸町にあること、半田市を中心に知多半島と名古屋市南部を地盤とすること、通称が「はんしん」であること、同じ半田市に知多信用金庫も本店を置くこと)=半田信用金庫および各種公開情報にもとづく。
半田の地理・歴史(半田市、知多半島、醸造業、ミツカン、酢のまち、半田運河、赤レンガ建物、山車祭り、新美南吉)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。
本サイトは、資金繰り支援サービス「¥Today」が運営しています。