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福島県商工信用組合——中通りの商工信組は、何に貸すか

預貸率69.8%、預金1,791億円、自己資本比率8.72%、不良債権比率3.39%。福島県郡山市に本店を置く福島県商工信用組合。中通りの商工業者に根ざす「けんしん」が、何に貸すのか。同じ福島の金融機関と比べながら、その数字と歴史を読む。

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福島県の郡山市に本店を置く福島県商工信用組合は、預金1,791億円を持つ信用組合だ。店舗16。地元では「けんしん」と呼ばれる。福島県の中央部——奥羽山脈と阿武隈高地に挟まれた中通りを地盤とし、郡山・須賀川・白河・二本松・福島・田村・伊達などに店舗を構える。名のとおり、商工業者を主な担い手とする信用組合として、中通りの事業者を支えてきた。

本拠の郡山市は、中通りの中央に位置する、福島県有数の商工業都市だ。東北本線と磐越東西線が交わる交通の要衝として発展し、商業・製造業・物流が集積する。中通りは、郡山・福島・白河という三つの拠点を軸に、東北道・東北新幹線が貫く、福島県の経済の大動脈である。福島県商工信用組合は、こうした中通りの商工業に根ざし、組合員である事業者の経営と資金繰りに寄り添ってきた信用組合だ。創業支援・事業再生支援に取り組み、台風や感染症に際しては資金繰り支援を通じて地域経済を支えるなど、事業者支援の色が濃い。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率69.8%という高さだ。集めた預金の約7割を貸出に回している。なぜ、中通りの商工信組は、こうした数字になるのか。同じ福島を地盤とする金融機関とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。福島県商工信用組合の預金は1,791億円、貸出金は1,251億円。預貸率は69.8%で、預金の約7割を貸出に回している。自己資本比率は8.72%、不良債権比率は3.39%。店舗数は16、中小企業等への貸出残高は1,033億円、貸出先は8千件を超える。

同じ福島県を地盤とする金融機関と比べてみる。同じ郡山に本店を置く福島信用金庫(預貸率42.9%・自己資本比率15.45%)は、預金の4割ほどしか貸さず資本を厚く積む。会津の会津商工信用組合(預貸率49.0%・不良債権比率12.94%)と比べても、福島県商工信用組合の預貸率69.8%は際立って高い。商工業者という明確な担い手を持ち、その事業資金に深く踏み込んで貸すぶん、預貸率が高くなっていると読める。一方、不良債権比率3.39%は、会津商工信用組合(12.94%)を大きく下回り、焦げ付きは抑えられている。商工業者に絞って貸し、その経営を見極めることで、高い預貸率と低めの焦げ付きを両立していると読める。

福島県の協同組織金融機関(令和7年3月末)
 福島県商工信用組合福島信用金庫会津商工信用組合
本店郡山市福島市会津若松市
預金1,791億円4,495億円951億円
預貸率69.8%42.9%49.0%
自己資本比率8.72%15.45%9.59%
不良債権比率3.39%5.09%12.94%

福島県商工信用組合は、商工業者に絞って深く貸すぶん預貸率が高い。一方で焦げ付きは抑えられている。

中通りの商工とともに——福島県商工信用組合の歩み

福島県商工信用組合は、1954年(昭和29年)10月、郡山商工信用組合として設立された。中通りの中央・郡山の商工業者が、相互扶助のための金融機関として生んだ組合である。その後、1958年(昭和33年)5月、福島県商工信用組合に改称し、郡山を中心に中通りへと地盤を広げてきた。商工業者を主な担い手とする「商工信組」として、中通りの事業者の経営と資金を支える役割を担ってきたのである。

中通りという土地は、信用組合にとって、商工業者の資金需要の厚い地盤だ。交通の要衝・郡山を中心に、商業・製造業・物流が集積し、事業者は運転資金や設備資金を必要とする。商工業者という明確な担い手に絞り、その事業資金に深く踏み込んで貸す——それが福島県商工信用組合の役割だ。創業支援・事業再生支援に取り組み、地域経済団体とも連携し、台風や感染症のときには資金繰り支援を通じて事業者を支える。事業者支援の色の濃いこの姿勢が、預貸率69.8%という高い水準を支えている。

69.8%を、中通りから読む

福島県商工信用組合の預貸率69.8%という高さは、商工業者という明確な担い手を持ち、その事業資金に深く踏み込んで貸していることの表れだと読める。交通の要衝・郡山を中心とする中通りは、商業・製造業・物流の集積する、信用組合が貸す相手の厚い土地だ。福島県商工信用組合は、商工業者の事業融資を重んじ、組合員に深く貸し、預金の約7割を貸出に回している。

不良債権比率3.39%という、抑えられた数字は、商工業者に絞って貸し、その経営を見極めてきたことの表れだと読める。明確な担い手を持つ商工信組は、組合員の事業をよく知る立場から、焦げ付きを抑えながら高い預貸率を保つことができる。自己資本比率8.72%は、信用組合として基準を満たす水準だ。中通りの商工業者に絞って深く貸し、その経営を見極めて焦げ付きを抑える——それが、福島県商工信用組合の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

福島の経済とともに

福島県商工信用組合の数字は、中通りという土地と、商工業者に絞って深く貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の約7割を組合員に貸し、郡山を中心とする中通りの商業・製造業・物流を支えてきた。交通の要衝・郡山を擁する中通りの経済が、69.8%という高い預貸率と、3.39%という抑えられた焦げ付きに表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。福島県商工信用組合を見れば、中通りの商工業の経済と、そこで商工業者に貸す信組の姿が浮かぶ。福島県の他の金融機関は、郡山・県北の福島信用金庫、会津の会津商工信用組合、ウルトラマンの故郷の須賀川信用金庫、県を代表する東邦銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。福島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、福島県の地域金融機関のページへ。

福島県商工信用組合と融資・保証のはなし

預貸率69.8%の福島県商工信用組合は、商工業者の事業融資に踏み込む貸出型の信用組合です。実際に借りることを考えるなら、申込の前に手順と制度を押さえておきたいもの。融資の進め方と保証のしくみを、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。商工業者という明確な担い手を持つ信用組合は、その事業資金に深く踏み込んで貸し、預貸率が高くなることがある。組合員の経営をよく知る立場から焦げ付きを抑えられるかが質を分け、不良債権比率や自己資本比率とあわせて見ることで、その貸し方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。福島信用金庫・会津商工信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(郡山市堂前町に本店を置き、郡山・須賀川・白河・二本松・福島・田村・伊達など福島県中通りを地盤とする商工業者向けの信用組合であること、1954年10月に郡山商工信用組合として設立され1958年5月に福島県商工信用組合へ改称したこと、創業支援・事業再生支援や地域経済団体との連携、台風・感染症に係る資金繰り支援に取り組んでいること、郡山が東北本線と磐越東西線が交わる交通の要衝で商工業の集積する都市であること)に関する記述=福島県商工信用組合および各種公開情報にもとづく。
郡山・中通りの地理・経済(郡山、須賀川、白河、二本松、中通り、阿武隈、東北本線、東北新幹線、東北道)に関する記述=各種公開情報。

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