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広島みどり信用金庫——中国山地・備北で、みどりしんは中山間地に何を貸すか

預貸率41.6%、預金950億円、自己資本比率17.26%、不良債権比率2.24%。広島県庄原市に本店を置く広島みどり信用金庫。中国山地・備北の中山間地に根ざす「みどりしん」が、何に貸すのか。同じ広島の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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広島県の庄原市に本店を置く広島みどり信用金庫は、預金950億円を持つ信用金庫だ。店舗9。地元で「みどりしん」と呼ばれ、庄原市・三次市など、広島県北部(備北)を主な事業区域とする。中国山地・備北の中山間地に根ざす信金だ。

本拠の備北地方は、広島県の北部、中国山地のただ中に広がる。中心の庄原市と三次市は、盆地に開けた地方都市で、まわりを山々と棚田に囲まれた中山間地だ。米づくりと畜産、林業が地域の生業であり、霧の海で知られる高梁川水系の三次盆地、神話を伝える神楽、国営備北丘陵公園など、自然と伝統の濃い土地でもある。中国地方でも有数の豪雪地帯であり、人口減少と高齢化が進む過疎地域でもある。広島みどり信用金庫は、こうした中国山地の備北に根ざし、地域の中小事業者と住民、農林業者に貸してきた。県北という、大手の支店網が手薄になりがちな地で、地域に寄り添う数少ない金融機関の一つだ。

この信金の数字を見ると、預貸率41.6%という水準に対し、自己資本比率17.26%という厚さが目を引く。預金950億円という小規模な信金が、なぜこれほど資本を厚く保つのか。同じ広島の信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。広島みどり信用金庫の預金は950億円、貸出金は395億円。預貸率は41.6%で、預金の4割強を貸出に回している。自己資本比率は17.26%、不良債権比率は2.24%。店舗数は9。

同じ広島県の信金と比べてみる。県内最大で広島市を地盤とする広島信用金庫(預貸率64.3%・預金1兆6,891億円)、呉の呉信用金庫(預貸率62.8%)、三原のしまなみ信用金庫(預貸率41.9%・自己資本比率9.97%)と並べると、広島みどり信用金庫の預貸率41.6%は、瀬戸内側の都市部の信金より低い。広島信金・呉信金が6割を超えるのに対し、みどりは4割強。これは、地盤が中国山地の中山間地で、大型の資金需要が乏しいことの表れだ。一方で自己資本比率17.26%は、広島の信金のなかでも際立って厚い。しまなみ(9.97%)の倍近い。過疎地で無理に貸さず、資本を厚く保つ守りの経営がうかがえる。不良債権比率2.24%は低く、堅実に貸してきたことをうかがわせる。

広島県の信用金庫(令和7年3月末)
 広島みどり信用金庫広島信用金庫呉信用金庫しまなみ信用金庫
本店庄原市広島市呉市三原市
預貸率41.6%64.3%62.8%41.9%
自己資本比率17.26%13.42%11.24%9.97%
不良債権比率2.24%3.02%3.7%7.24%

いずれも広島県の信金。みどりは預貸率が低い一方、自己資本比率は最も厚く、不良債権比率は最も低い。中山間地の守りの経営を映す。

庄原信用金庫と三次信用金庫から——広島みどり信用金庫の歩み

広島みどり信用金庫は、1993年(平成5年)11月1日、庄原信用金庫と三次信用金庫が合併して誕生した。庄原信金は1947年(昭和22年)10月の設立で、戦後すぐに備北の地に生まれた。県北の二つの信金が一つになり、中国山地の備北全域を支える信金となった。本店は庄原市西本町に置かれ、略称は「みどりしん」。緑深い中国山地にちなんだ名だ。2015年(平成27年)には庄原市と包括連携協定を結んだ。これは広島県内の市町が金融機関と包括連携協定を結んだ初めての例で、過疎地の地域づくりに信金が深く関わる姿勢を示すものだった。

中国山地の備北という土地は、信用金庫にとって厳しくも重要な地盤だ。米づくり・畜産・林業を生業とする中山間地で、人口減少と高齢化が進む。大型の資金需要は乏しく、貸出を伸ばすにも限りがある。だから預貸率は4割強にとどまる。しかし、大手の支店網が手薄なこの地で、信金は地域に残る数少ない金融機関だ。広島みどり信金は、無理に貸出を伸ばさず、自己資本比率17.26%という厚い資本を積み、不良債権比率2.24%という低さを保ってきた。これは、過疎地の経済と歩むなかで、健全性を最優先する守りの経営の表れだと読める。二つの信金が合併して規模と体力を確保したことも、この厚い資本を支えていると読める。県北で地域に残り続けるために、資本を厚く保つ——その選択がこの数字に表れている。

41.6%を、中国山地から読む

広島みどり信用金庫の預貸率41.6%という水準と、自己資本比率17.26%という厚さの組み合わせは、中国山地の備北という過疎地で、大型の資金需要が乏しいなか無理に貸さず、資本を厚く積んで健全性を守ってきたことの表れだと読める。瀬戸内側の都市部の信金が6割を超えて貸すのとは対照的に、みどりは4割強。預金は集まっても、貸出は預金の4割ほど。残りを運用と、分厚い資本の備えに回す。

過疎と高齢化が進む県北で、広島みどり信金は地域に残る数少ない金融機関として、無理をせず健全性を保ってきた。中山間地とともに生き残るために、資本を厚く保つ——その守りの経営が、17.26%という厚い自己資本と、2.24%という低い不良債権比率に表れていると読める。中国山地の備北で、みどりしんは地域経済とともに歩んでいる。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

広島の経済とともに

広島みどり信用金庫の数字は、中国山地の備北という土地と、二つの県北の信金が合併して中山間地を支えてきた歴史の、両方を映している。過疎地で無理に貸さず、資本を厚く積んで健全性を守ってきた。中山間地という土地柄と、地域に残り続けるための守りの経営が、41.6%という預貸率と、17.26%という厚い自己資本に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。広島みどり信用金庫を見れば、中国山地・備北の経済と、そこで資本を厚く保って地域に残る信金の姿が浮かぶ。広島県の他の金融機関は、県内最大の広島信用金庫、呉の呉信用金庫、三原のしまなみ信用金庫、県内最大の地銀広島銀行もみじ銀行もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。広島県の他の金融機関と並べて眺めたい方は、広島県の地域金融機関のページへ。

広島みどり信用金庫と融資のはなし

広島みどり信用金庫は、中国山地・備北に根ざし、厚い資本を抱えて過疎地に堅実に貸す信用金庫です。地元の事業者に貸す信金とどう付き合うか、口座づくりから与信の考え方まで、知っておきたい銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。人口減少が進む中山間地・過疎地を地盤とする信金では、大型の資金需要が乏しく、預貸率が4割前後にとどまることが多い。とりわけ自己資本比率が高い場合は、無理に貸さず健全性を最優先する守りの経営の表れであることが多い。自己資本比率とあわせて見ることで、その姿が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。広島信用金庫・呉信用金庫・しまなみ信用金庫の数値も同出典。
沿革(庄原信用金庫が1947年10月に設立されたこと、1993年11月1日に庄原信用金庫と三次信用金庫の合併により広島みどり信用金庫が誕生したこと、本店が庄原市西本町にあること、庄原市・三次市など広島県北部を事業区域とすること、略称が「みどりしん」であること、2015年に庄原市と県内市町初の包括連携協定を結んだこと)=広島みどり信用金庫および各種公開情報にもとづく。
備北の地理・歴史(庄原市、三次市、中国山地、備北、中山間地、三次盆地、神楽、国営備北丘陵公園、米づくり、畜産、林業)に関する記述=各種公開情報・歴史的事実。

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