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のぞみ信用組合——二つの信組が一つになった商都の信組は、何に貸すか

預貸率66.2%、預金2,218億円、自己資本比率10.43%、不良債権比率1.43%。大阪市中央区に本店を置くのぞみ信用組合。二つの信組が合併して生まれた中小零細専門の「のぞみ」が、なぜよく貸しながら焦げ付きが低いのか。同じ大阪の信用組合と比べながら、その数字と歴史を読む。

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大阪市の中央区内本町に本店を置くのぞみ信用組合は、預金2,218億円を持つ信用組合だ。店舗14。堺筋本町の交差点角、大きなクスノキを目印とする本店ビルを構える。大阪府内全域を営業区域とし、中小零細企業を専門とする地域信用組合として、商都・大阪の小さな事業者を支えてきた。

本拠の大阪は、古くから「天下の台所」と呼ばれた商いの都だ。問屋街・商店・町工場が密集し、数えきれないほどの中小・零細事業者がひしめく。なかでも本店を置く中央区の船場・本町界隈は、繊維・薬・金物などの問屋が集まってきた商業の中心地である。のぞみ信用組合は、こうした商都・大阪の中小零細に根ざし、組合員の事業者と住民を支えてきた信用組合だ。本店の近くには、中小企業や創業者を支援する大阪産業創造館や大阪商工会議所もある。

この信組の数字で目を引くのは、預貸率66.2%という高さと、不良債権比率1.43%という低さだ。預金の3分の2を貸出に回しながら、焦げ付きはきわめて低く抑えられている。なぜ、中小零細専門の信組が、こうした数字になるのか。同じ大阪を地盤とする信用組合とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。のぞみ信用組合の預金は2,218億円、貸出金は1,467億円。預貸率は66.2%で、預金の3分の2を貸出に回している。自己資本比率は10.43%、不良債権比率は1.43%。店舗数は14、中小企業等への貸出残高は1,472億円、貸出先は4千件を超える。

同じ大阪府を地盤とする信用組合と比べてみる。規模で上回る大同信用組合(預貸率66.9%・不良債権比率2.54%)や成協信用組合(預貸率83.6%・不良債権比率0.73%)と並べると、大阪の信用組合はいずれも、商都の中小零細によく貸す傾向がある。のぞみ信用組合の預貸率66.2%は大同信用組合とほぼ並ぶ。なかでも、のぞみ信用組合の不良債権比率1.43%は、中小零細を専門としながらかなり低い水準だ。無数の小さな事業者がひしめく大阪は、信用組合が貸す相手の厚い土地であり、のぞみ信用組合はそのなかで貸し先を見極めて貸し、焦げ付きを低く保っていると読める。

大阪府の信用組合(令和7年3月末)
 のぞみ信用組合大同信用組合成協信用組合
本店大阪市中央区大阪市大阪市
預金2,218億円7,032億円4,816億円
預貸率66.2%66.9%83.6%
自己資本比率10.43%12.25%7.45%
不良債権比率1.43%2.54%0.73%

大阪の信用組合はいずれも中小零細によく貸す。のぞみ信用組合は、専門としながらも低い焦げ付きを保っている。

二つの信組が一つになって——のぞみ信用組合の歩み

のぞみ信用組合は、2004年(平成16年)1月、大阪商業信用組合と大阪庶民信用組合という二つの信用組合が合併して生まれた。「のぞみ」という名は、二つの組合が一つになって新たに踏み出す、その願いを込めたものだ。商業者を母体とする組合と、庶民の暮らしに根ざした組合——それぞれの歴史と組合員を受け継ぎ、商都・大阪の中小零細を支える地域信用組合として歩みを始めた。

大阪という土地は、信用組合にとって、組合員の資金需要の厚い地盤だ。船場・本町の問屋、町工場、商店——無数の小さな事業者が、運転資金や設備資金を必要とする。中小零細を専門とし、組合員に密着して貸す——それがのぞみ信用組合の役割だ。地域密着で、中小零細企業専門の金融機関として地域社会の発展に貢献する、という姿勢を掲げ、本業の事業融資に踏み込んでいる。その姿勢が、預貸率66.2%という高い水準を支えている。

66.2%と1.43%を、大阪から読む

のぞみ信用組合の預貸率66.2%という高さは、中小零細専門の信組として、組合員に深く踏み込んで貸していることの表れだと読める。無数の小さな事業者がひしめく大阪は、信用組合が貸す相手の厚い土地だ。のぞみ信用組合は、本業の事業融資を重んじ、組合員の中小零細に貸し、預金の3分の2を貸出に回している。

そして、不良債権比率1.43%という低さが、この貸し方を支える。中小零細を専門としながら焦げ付きを低く抑えられているのは、組合員との関係のもとで貸し先を見極めてきたからだと読める。小さな事業者への融資は浮き沈みと隣り合わせだが、のぞみ信用組合は地縁・人縁を生かし、低い焦げ付きを保ってきた。自己資本比率10.43%は、信用組合として基準を満たす水準だ。商都・大阪で、二つの信組の歴史を受け継ぎ、中小零細に深く貸し、それでいて焦げ付きを抑える——それが、のぞみ信用組合の数字に表れた生き方だと読める。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

大阪の経済とともに

のぞみ信用組合の数字は、商都・大阪という土地と、二つの信組が一つになって中小零細に貸す信組の歩みの、両方を映している。預金の3分の2を組合員に貸し、船場・本町の問屋や町工場、商店を支えてきた。無数の小さな事業者がひしめく大阪の経済が、66.2%という高い預貸率と、1.43%という低い焦げ付きに表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。のぞみ信用組合を見れば、商都・大阪の経済と、そこで中小零細に貸す信組の姿が浮かぶ。大阪府の他の金融機関は、大同信用組合成協信用組合大阪協栄信用組合、全国最大の信組近畿産業信用組合もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。

のぞみ信用組合と融資・保証のはなし

預貸率66.2%ののぞみ信用組合は、組合員の中小零細に深く貸す貸出型の信用組合です。実際に借りることを考えるなら、申込の前に手順と制度を押さえておきたいもの。融資の進め方と保証のしくみを、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。無数の中小零細事業者がひしめく商都を地盤とする信用組合は、組合員に深く踏み込んで貸し、預貸率が高くなることがある。よく貸しながら焦げ付きを低く抑えられるかは、貸し先を見極める力にかかっており、不良債権比率や自己資本比率とあわせて見ることで、その貸し方の質が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・貸出先件数・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。大同信用組合・成協信用組合の数値も同出典。
沿革・地域(大阪市中央区内本町に本店を置き、大阪府内全域を営業区域とする中小零細企業専門の信用組合であること、2004年1月に大阪商業信用組合と大阪庶民信用組合が合併して生まれたこと、本店が堺筋本町の交差点角にあり大阪産業創造館・大阪商工会議所が近いこと、大阪が「天下の台所」と呼ばれた商いの都で船場・本町に問屋街が集まること)に関する記述=のぞみ信用組合および各種公開情報にもとづく。
大阪の地理・経済(大阪、中央区、船場、本町、堺筋本町、問屋街、天下の台所)に関する記述=各種公開情報。

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