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大阪貯蓄信用組合——預金の99.7%を貸す「プチバンク」は、なぜ全額に近く貸せるのか

預貸率99.7%、預金213億円、自己資本比率8.37%、不良債権比率0.15%。大阪市淀川区に本店を置く大阪貯蓄信用組合。預金のほぼ全額を貸出に回す「プチバンク」が、なぜそれを可能にし、なぜ焦げ付きをほぼゼロに抑えるのか。同じ大阪の信組と比べながら、その数字と歴史を読む。

ニホン銀行紀行 ・ 大阪府

大阪市淀川区に本部を置く大阪貯蓄信用組合は、預金213億円を持つ信用組合だ。店舗3。みずから「プチバンク」を名乗る、小さな地域信組である。大阪市全域と、東大阪・守口・吹田・八尾・豊中・茨木・高槻、そして兵庫県尼崎市を営業区域とし、「地域スーパー貢献型」を掲げて、足で稼ぐきめ細かな営業を身上とする。金融機関コードは2548。

この信組の数字には、本サイトで紹介してきた数百の金融機関のなかでも、飛び抜けて際立つ一点がある。預貸率99.7%——預金213億円に対し、貸出金は212億円。預かったお金の、ほぼ全額を貸出に回している。多くの信用金庫・信用組合が預金の3割から6割を貸すなか、ここは100%に限りなく近い。預金が、ほとんどそのまま地域の貸出になっている。なぜ、これほど貸せるのか。そして同時に、なぜ不良債権比率を0.15%という、ほぼゼロの水準に抑えられるのか。同じ大阪の信組とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。大阪貯蓄信用組合の預金は213億円、貸出金は212億円。預貸率は99.7%で、預金のほぼ全額を貸出に回している。自己資本比率は8.37%、不良債権比率は0.15%。店舗数は3。

同じ大阪の信組と比べてみる。コミュニティから生まれた成協信用組合(預貸率83.6%・預金4,816億円)、大阪市を地盤とする大同信用組合(預貸率66.9%・預金7,032億円)、商都の大型信組大阪協栄信用組合(預貸率64.6%・預金8,583億円)と並べると、大阪貯蓄信用組合の預貸率99.7%は、よく貸す大阪の信組のなかでも、さらに群を抜いて高い。預金規模213億円は、これらの大型信組の数十分の一の小ささだ。規模は最小級なのに、預金を貸出に回す比率は最大級——この対比が、大阪貯蓄信用組合の際立った性格を物語る。そのうえで、不良債権比率0.15%という、ほぼゼロの低さも見逃せない。よく貸しながら、焦げ付きをほとんど出していない。

大阪府の信用組合(令和7年3月末)
 大阪貯蓄信用組合成協信用組合大同信用組合大阪協栄信用組合
預金213億円4,816億円7,032億円8,583億円
預貸率99.7%83.6%66.9%64.6%
自己資本比率8.37%7.45%12.25%13.0%
不良債権比率0.15%0.73%2.54%1.42%

いずれも大阪府の信組。大阪貯蓄は規模こそ最小級だが、預貸率は群を抜いて高く、不良債権比率は最も低い。

昭和信用組合から——大阪貯蓄信用組合の歩み

大阪貯蓄信用組合は、1952年(昭和27年)3月、「昭和信用組合」として大阪市天王寺区に設立された。1954年(昭和29年)8月、現在の「大阪貯蓄信用組合」に名称を変更した。大阪府下でも最も歴史のある信用組合のひとつだ。2014年(平成26年)1月には、本部・本店営業部を大阪市淀川区の西三国に建て替え・新築している。役員には、地元のタクシー業界大手である北港梅田グループの創業家一族が名を連ね、同社との関係も深いとされる。

この信組の経営は、独特だ。みずから「プチバンク」を名乗り、「まかせてください!!」を合言葉に、お客様へのきめ細かなサービスと、足で頑張る営業スタイルを身上とする。大阪市と近郊を「地域スーパー貢献型」の金融機関として支える——その姿勢が、預貸率99.7%という数字の背景にある。小さな信組が、限られた組合員一人ひとりに深く入り込み、足で稼いだ信頼関係のうえに貸す。集めた預金を、ほとんどそのまま地域に還元する。規模を追わず、深さで勝負する——その経営が、ほぼ全額貸出という比率を可能にしていると読める。

そして、不良債権比率0.15%という、ほぼゼロの低さが、この信組のもう一つの顔だ。よく貸しながら、焦げ付きをほとんど出さない。これは、足で稼ぐ営業で貸出先を一軒一軒よく見て、相手をよく知ったうえで貸していることの表れだと読める。近い距離と目利きがあれば、ほぼ全額を貸しても、焦げ付きは抑えられる。規模が小さいぶん、一件一件に目が届くという面もあるだろう。自己資本比率8.37%は、信用組合の国内基準4%を上回る水準だ。よく貸し、深く関わり、焦げ付きを出さない——その三つが、大阪貯蓄信用組合の数字に同居している。

99.7%を、プチバンクの矜持から読む

大阪貯蓄信用組合の預貸率99.7%という、ほぼ全額貸出の水準は、規模を追わず、限られた組合員に足で稼いで深く貸す「プチバンク」の生き方の表れだと読める。商都・大阪の中小・零細事業者に、集めた預金をほとんどそのまま還元する。預金を運用に回して稼ぐのでも、貸出を絞って資本を守るのでもない。預かったお金を、地域に貸し切る——それが、この信組の選んだ道だ。

そして、不良債権比率0.15%という、ほぼゼロの低さが、その道が無理のないものであることを示している。よく貸しながら焦げ付きをほとんど出さないのは、足で稼ぐ営業で築いた、貸出先との近い距離と目利きがあればこそだ。大きさではなく、深さで地域を支える——その矜持が、99.7%という預貸率と0.15%という低い焦げ付きの両立に表れていると読める。小さな信組の、際立った一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

大阪の経済とともに

大阪貯蓄信用組合の数字は、商都・大阪の中小・零細事業者という土地と、規模を追わず深さで支える「プチバンク」の生き方の、両方を映している。集めた預金をほとんどそのまま地域に貸し切りながら、足で稼ぐ営業で焦げ付きをほぼゼロに抑えてきた。大きさではなく深さで勝負するその姿勢が、99.7%という際立った預貸率と、0.15%という低い焦げ付きに表れている。

銀行や信用組合の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。大阪貯蓄信用組合を見れば、中小・零細がひしめく商都・大阪の経済と、そこに深く貸し切る小さな信組の姿が浮かぶ。大阪の他の協同組織金融機関は、コミュニティから生まれた成協信用組合、大阪市を地盤とする大同信用組合、商都の大型信組大阪協栄信用組合、市が生んだ大阪シティ信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。大阪府の他の金融機関と並べて眺めたい方は、大阪府の地域金融機関のページへ。

大阪貯蓄信用組合と融資のはなし

大阪貯蓄信用組合は、足で稼ぐ営業で地元に深く貸す「プチバンク」です。実際に借りることを考えるなら、申込の前に手順と制度を押さえておきたいもの。融資の進め方と保証のしくみを、用語とあわせてまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。100%に近い預貸率は、預金をほぼ全額貸出に回していることを意味し、地域の資金需要に深く応える姿勢の表れであることが多い。ただし、よく貸すことと焦げ付きの少なさを両立できるかは、貸出先を見極める目にかかっている。不良債権比率とあわせて見ることで、その姿が立体的に見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用組合の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。成協信用組合・大同信用組合・大阪協栄信用組合の数値も同出典。
沿革(1952年3月に「昭和信用組合」として大阪市天王寺区に設立されたこと、1954年8月に「大阪貯蓄信用組合」へ名称変更したこと、2014年1月に本部・本店営業部を大阪市淀川区西三国へ建て替え新築したこと、金融機関コードが2548であること、「プチバンク」「地域スーパー貢献型」を掲げること、大阪市全域・近郊7市・兵庫県尼崎市を営業区域とすること、役員に北港梅田グループの創業家一族が名を連ねるとされること)=大阪貯蓄信用組合および各種公開情報にもとづく。
大阪の経済(商都、中小・零細事業者)に関する記述=各種公開情報。

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