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東京シティ信用金庫——日本橋の信金は、なぜ預金の7割を貸せるのか

預貸率72.1%、預金8,569億円、自己資本比率9.59%、不良債権比率2.87%。中央区日本橋に本店を置く東京シティ信用金庫。商都・東京の都心に根ざし、信金として高い預貸率でよく貸す。同じ東京の信金と比べながら、その数字と歴史を読む。

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東京都中央区の日本橋に本店を置く東京シティ信用金庫は、預金8,569億円を持つ信用金庫だ。店舗30。中央区を中心に、千代田・港・台東など東京の都心部を地盤としている。

本拠の日本橋は、江戸以来の商業の中心地だ。五街道の起点が置かれ、魚河岸が栄え、いまも老舗の問屋や商店、そしてオフィスビルが立ち並ぶ。中央区から千代田区、港区にかけての一帯は、日本でも有数のビジネス街であり、無数の中小企業・個人事業者がひしめく。卸・小売、飲食、サービス、町工場——東京シティ信用金庫は、こうした商都・東京の都心の中小事業者に根ざしてきた信金だ。

この信金の数字でまず目を引くのは、預貸率72.1%という高さだ。信用金庫の預貸率は4割から5割台のことが多いなかで、72.1%は際立って高い。預金の7割を超えて貸し出している。なぜ、日本橋の信金は、これほどよく貸せるのか。同じ東京を地盤とする信金とも比べながら、数字を読みにいく。

数字を並べてみる

まず、絶対値から。東京シティ信用金庫の預金は8,569億円、貸出金は6,181億円。預貸率は72.1%で、預金の7割を超えて貸出に回している。自己資本比率は9.59%、不良債権比率は2.87%。店舗数は30、中小企業等への貸出残高は6,027億円。

同じ東京で、港区・大田区を地盤とする芝信用金庫(預貸率52.5%)や、城北の下町を地盤とする城北信用金庫(預貸率49.3%)と比べると、東京シティ信用金庫の預貸率72.1%は頭一つ抜けて高い。同じ東京の信金でも、これだけ預貸率に差が出るのは珍しい。中央区・千代田区・港区という、日本でも有数のビジネス密集地を地盤とし、旺盛な資金需要に応えていることが、この高い預貸率を支えていると読める。

東京都の信用金庫・預貸率の比較(令和7年3月末)
 東京シティ信金芝信用金庫城北信用金庫
本店中央区港区荒川区
預金8,569億円1兆1,130億円2兆6,571億円
預貸率72.1%52.5%49.3%
自己資本比率9.59%
不良債権比率2.87%2.39%

同じ東京の信金でも、東京シティ信用金庫の預貸率72.1%は際立って高い。中央区・千代田区・港区という都心ビジネス街の旺盛な資金需要が背景にある。

商都・日本橋とともに——東京シティ信用金庫の歩み

東京シティ信用金庫は、東京の都心の中小・零細事業者の相互扶助の金融機関として育ってきた。日本橋の問屋や商店、中央区・千代田区のオフィスに連なる中小企業、町工場や個人事業者——こうした人々が会員となり、預金を預け、必要なときに資金を借りる。合併を経て、都心部に広く根ざす信金へと歩んできた。

都心という土地は、信用金庫にとって、会員の資金需要の濃い地盤だ。日本橋の老舗問屋、中央区・千代田区・港区のオフィス街に集まる無数の中小企業、飲食・サービス業——多様な業種が、狭い面積に高い密度で集まっている。都心の中小に密着し、会員との関係のもとで貸す——この信用金庫ならではの貸し方が、預貸率72.1%という高い水準を支えている。自己資本比率9.59%は、信用金庫の国内基準4%を十分に上回り、健全な水準だ。不良債権比率2.87%は、都心の事業の浮き沈みを引き受けるなかで、おおむね落ち着いた水準を保っていると読める。

72.1%を、日本橋から読む

東京シティ信用金庫の預貸率72.1%という高さは、商都・東京の都心で、会員の旺盛な資金需要によく応えていることの表れだと読める。日本橋の問屋、中央区・千代田区・港区のオフィス街に集まる中小企業は、信用金庫が貸す相手の濃い土地だ。大企業の本社は大手銀行が主に資金を供給するが、その周りには無数の中小・零細事業者がいる。東京シティ信用金庫は、その中小に密着して貸し、預金の7割を超えて貸出に回している。

自己資本比率9.59%という健全な資本と、不良債権比率2.87%というおおむね落ち着いた焦げ付きは、都心で会員によく貸しながら、健全さを保ってきたことを映す。商都の都心で、中小に深く貸し、健全な資本を保つ——それが、東京シティ信用金庫の数字に表れた生き方だと読める。よく貸す信金の、一つのかたちがここにある。預貸率という数字をどう読むかについては、預貸率の読み方もあわせてどうぞ。

東京の経済とともに

東京シティ信用金庫の数字は、商都・東京の都心という土地と、そこで中小に深く貸す信金の歩みの、両方を映している。預金の7割を超えて地元の会員に貸し、健全な資本を保ちながら、日本橋を中心とする都心の中小・零細事業者を支えてきた。中央区・千代田区・港区の旺盛な資金需要が、72.1%という高い預貸率に表れている。

銀行や信用金庫の数字は、その土地の経済と、その金融機関の生き方を映す鏡だ。東京シティ信用金庫を見れば、商都・東京の都心の経済と、そこで中小に深く貸す信金の姿が浮かぶ。東京都の他の金融機関は、港区・大田区の芝信用金庫、城北下町の城北信用金庫、池袋の東京信用金庫もあわせてどうぞ。預貸率という数字の読み方については、預貸率の読み方へ。東京都の他の金融機関と並べて眺めたい方は、東京都の地域金融機関のページへ。

東京シティ信用金庫と融資・保証のはなし

本業の事業融資に踏み込むなら、知っておきたいのが融資の進め方と保証のしくみです。創業期から事業の拡大まで、都心で事業を営む立場で押さえておきたい融資・銀行取引の基礎をまとめました。

預貸率とは 預貸率(よたいりつ)とは、金融機関の貸出金残高を預金残高で割った比率。預かった資金のうち、どれだけを貸出に回しているかを示す。信用金庫の預貸率は4割から5割台のことが多いが、中小事業者が高い密度で集まる都心のビジネス街を地盤とする信金では、旺盛な資金需要に応えて7割を超えることもある。自己資本比率や不良債権比率とあわせて見ることで、その信金の貸し方が見えてくる。 → くわしくは「預貸率の読み方

執筆・監修:燧徹史(¥Today 編集責任者)

出典:預金・貸出金・預貸率・自己資本比率・不良債権比率・中小企業等向け貸出残高・店舗数=金融庁「中小・地域金融機関情報一覧」令和7年3月末(信用金庫の計数は百万円単位を億円に換算。預貸率は貸出金÷預金で算出)。芝信用金庫・城北信用金庫の数値も同出典。
沿革・地域(中央区日本橋に本店を置き、中央区・千代田区・港区・台東区など東京の都心部を地盤とする信用金庫であること、合併を経て都心部に広く根ざす信金になったこと、日本橋が江戸以来の商業の中心地で五街道の起点が置かれ魚河岸が栄えたこと、中央区・千代田区・港区が日本有数のビジネス街で中小企業・個人事業者が集積すること)に関する記述=東京シティ信用金庫および各種公開情報にもとづく。
日本橋・都心の地理・経済(日本橋、中央区、千代田区、港区、商業、問屋、オフィス街、中小企業)に関する記述=各種公開情報。

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